蒼の瞳、紅の瞳
■ 21.過去の敵


次は三番隊かな。
元柳斎から死神に戻ることを許された咲夜は、その報告とお礼に各隊へ挨拶に行くことにした。
一番隊舎を出て、三番隊舎に向かって居た咲夜だったが、二番隊舎の前である霊圧に気が付き、二番隊舎にも顔を出すことに決めた。


かつて、私を捕まえようと私のもとに現れた刑軍たち。
私の顔を知る隊員が居ないことを願いつつ、見知った霊圧があるほうへ向かう。
『いた。・・・夜一さん!喜助!』
咲夜が名を呼ぶと、二人はこちらを振り向いた。


「咲夜サンじゃないッスかぁ。お久しぶりッス。」
「よう、咲夜。」
「なっ。貴様は!?」
咲夜に挨拶をする二人の影から砕蜂が現れた。
「貴様は、漣咲夜ではないか。」
そう言って、殺気を放つ砕蜂。


「よせ、砕蜂。」
「しかし・・・。」
「あやつは罪人ではない。」
「・・・はい。」
夜一の言葉に砕蜂の殺気が抑えられる。


「その様子だと、死神に戻れるみたいッスね。」
咲夜を見て喜助はそう言った。
『そうなんだ。さっき山じいから許可をもらってきた。私はここに居てよいそうだ。』
「・・・そうか。長かったの、咲夜。儂も咲夜に追っ手を放った身じゃ。すまなかったの。」
夜一は申し訳なさそうにしている。


『いえ。夜一さんはそれが仕事だったのですから、仕方ありません。それに、夜一さんが居る間は、追っ手も手を緩めてくれていましたから。表向きには、私が死んだことにしてくれたのは夜一さんですよね。おかげで他の方々を巻き込まずに済みましたし。まぁ、お二人が居なくなってからは少し大変でしたけど。』
そう言って苦笑する咲夜。


「それは、すみません。アタシらは、咲夜サンに助けてもらってばかりで・・・。今回のことも咲夜サンは自分で解決したようですし。」
『そうでもないさ。みんなが私に力を貸してくれた。私一人ではきっと何もできなかっただろうから。』


「そうッスか。それはよかったッス。咲夜サン、アタシらも咲夜サンの味方ですからね。」
「そうじゃ。それを忘れるなよ。」
『はい。・・・砕蜂隊長。私は本日付で正式に死神へ復帰いたしました。もう二度と、刑軍に追われる身になることはありません。どうか、よろしくお願いいたします。』
咲夜は、砕蜂に頭を下げた。


「・・・あぁ。だが、次何か問題を起こしたら、私自ら貴様を斬りに行くからな。覚悟しておけ。」
『はい。』
「まったく、固いのぉ。お主らもう少し気を抜いたほうがよいぞ。」


「そうッスねぇ。夜一サンを見習ってくださいよ。このどこも凝っていないからだっぶ。」
夜一の拳が喜助の顔にめり込んだ。
「何か言ったか、喜助。」
「いえ、なんでもないッス・・・。」
『ふふふ。相変わらずのようですね。それでは私はこれで。』


「あ、咲夜サン。よければ、これ使ってください。特別な霊糸で編んだ手甲です。それを身に着けていれば、並みのものでは斬られませんから。剣の巫女の力も斬魄刀も、もうないんでしょう?本当は咲夜サンの体を斬魄刀がすり抜けないように作ったんスけど。」
そういって、真っ黒な手甲を渡される。
『あぁ。ありがとう、喜助。使わせてもらうよ。じゃ、またな。』
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