蒼の瞳、紅の瞳
■ 20.復帰


さらに一週間後、咲夜は退院した。
『烈さん、お世話になりました。』
咲夜はそう言って、卯ノ花に頭を下げる。
「礼などいりません。私は私のやるべきことをやっただけですから。・・・無事に回復してよかった。」
卯ノ花は咲夜を見てほっとしたように微笑んだ。


『烈さん、私は、もう一度、ここで死神としてやっていきたい。これから、山じいのもとへいってそうお願いしようと思います。』
「・・・そうですか。それはよかった。たまには四番隊に顔を出してくださいね。」
『はい。』


「できることなら、四番隊に移隊してきて欲しいくらいなのですが。貴方がここに居たら心強いのですけれど。」
『ふふふ。私は浮竹を手伝います。彼は病弱で副官たちの負担が大きいですから。』
咲夜は苦笑しつつそう答えた。
「それは残念です。」


『でも、時々手伝いに来ますね。私も烈さんに会いたいですから。』
咲夜はそう言って笑みを浮かべた。
「はい。いつでも歓迎しますよ。」
卯ノ花はそんな咲夜を見て、もう大丈夫なのだと確信した。


咲夜は卯ノ花と別れて、一番隊に向かった。
そして、隊主室の扉を叩く。
「入れ。」
中から山じいがそう声を返してくる。

『失礼します。』
咲夜は隊主室に入ると居住まいを正した。
『本日はお願いがあって参りました。』
「なんじゃ、改まって。」


『私を死神としてここに居させていただきたいのです。私は副隊長という立場にありながら、突然姿を消しました。ですが・・・。』
「なんじゃ、そのことか。もう、よいのだ。」
山本は咲夜の声を遮ってそう言った。


『・・・え?』
「なんじゃ、その顔は。お主は何も悪いことはしておらぬ。当時の四十六室がお前を追い詰めたのじゃ。それに、今回お主は自らの斬魄刀と父を犠牲にして、事態を収束させた。」
『ですが、私にはもう斬魄刀がありません。』
咲夜は俯いてそう言った。


「かまわぬ。お主は斬魄刀などなくても十分戦える。儂はそれをよくわかっておる。四十六室からもお主が死神を続ける許可をもらっておいた。」
その言葉に咲夜は顔をあげた。


『わたしは、ここに居ていいのですか?また、死神としてここに居られるのですか?』
「そうじゃ。ここに居ろ。お主は一人にすると無茶をする。儂の心臓がもたんわ。」
『っありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。』


「礼などいらぬ。・・・立花翠蓮あらため、漣咲夜。本日をもって死神への復帰を申し付ける。よく努めよ。」
『は。』
咲夜はそう返事をして深く頭を下げたのだった。
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