蒼の瞳、紅の瞳
■ 17.君を消す


『天地(あめつち)の声を聴き、わが身に宿れ!森羅!』
解号と同時に森羅の刀身は消え、咲夜の瞳が深紅に染まる。
森羅は始解によって主と一体化するのだ。
つまり、私は、森羅そのものになる。
だが、咲夜が始解しても先ほどから具象化している森羅は消えなかった。


・・・それに、いつもより制御が難しくなっている。
これでは、卍解は使えない。
いや、森羅が卍解させてはくれないだろう。


『森羅!私は、お前を消すよ。』
「主まで私を消そうというの?」
咲夜の言葉を聞いて森羅の顔が歪む。


『うん。私はお前を消す。お前にこれ以上大切なものを傷つけて欲しくないから。』
「そう。じゃあ、貴女の隊長のもとへ送ってあげる。」
森羅は冷たいまなざしを私に向けてそう言った。


「させぬ。」
私に向かってこようとする森羅の前に白哉が立ちふさがった。
続いて他の隊長たちが森羅を取り囲む。
「あら、あなた方みんな私と戦う気なの?命知らずなのね。私に勝てると思って?」
「君こそ、僕らを見縊らないでほしいなぁ。」
「そう。では遊んで差し上げますわ。」
その言葉によって、森羅と隊長たちの戦いが始まった。


隊長たちが次々と森羅を攻撃するが、森羅はそれを全て打ち消している。
そして、森羅に攻撃が与えられるたびに、咲夜には激痛が走っていた。
『・・・っ!!!!』


耐えろ。
ここで私が折れるわけにはいかない。
みんなが私を助けてくれている。
私のために戦ってくれている。
私のせいで傷ついている。
この程度の痛みで私が倒れるわけにはいかないのだ。


「痛いのか?」
いつの間にか鏡夜がそばに立っていた。
『っ平気だ。この程度の痛みに私が負けるわけにはいかない。』
「そうか。斬魄刀を攻撃されるということはそれと融合しているお前自身が攻撃されているのと同じこと。」


鏡夜は何かを考えているようだった。
うまく、体が動かない。
私から離れようとする森羅が内側から私の体を傷つける。
流れ出る血が徐々に純白の衣装を赤く染めていく。
足に力が入らなくなってきた・・・。


「咲夜、俺を信じるか?」
唐突に鏡夜が咲夜に問うた。
『しん、じる?』
「お前を殺そうとした私を信じるか?」
どうして、そんなことを聞くのだろう。


咲夜はゆっくりと鏡夜の方を向いた。
そこには何か覚悟を決めたような真剣な瞳があった。
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