蒼の瞳、紅の瞳
■ 33.何度でも

『白哉。』
再び二人になったところで、咲夜は白哉の名を呼んだ。
「なんだ?」
白哉が返事をすると、咲夜は座っている白哉の前に膝立ちになった。


『愛している。』
そう言って白哉の額に自分のそれをこつんとくっつけた。
「私もだ。・・・急にどうしたのだ?」
咲夜の背中に手を回しながら白哉は言った。


『伝えたくなっただけだ。何年たっても君が愛しくて仕方がないのだ。』
そういって困ったように笑う。
『君が私の名を呼ぶ度に、私に触れる度に、微笑む度に、愛しさが溢れてくる。・・・大好きだ。』
咲夜はそう言ってほほ笑む。
そんな咲夜を白哉は抱き寄せた。


「・・・私もだ。そなたの声が、温もりが、笑顔が、私の心を奪う。何度も、何度も。」
『君を見るたびに私は君から目を離せなくなる。隊長の白哉も、当主の白哉も、朽木白哉という一人の男も、すべてが愛しい。どんな君も、君だから愛しいのだ。』


「私もだ。そなたを見る度、心が揺れる。いつだって触れたくなる。声が聞きたくなる。・・・愛している。」
白哉はそう言って蕩けるような笑みを見せる。
『・・・その顔はずるいだろう。』
咲夜は赤くなっていう。


「咲夜こそ。」
白哉はからかうように言った。
『絶対楽しんでいるだろう。』
「相手が咲夜だからだ。」
『もう・・・。』
そういって二人は見つめ合い、くすくすと笑いあう。


きっと、私たちは何度でも恋をするのだ。
季節が変わり、歳を重ねても。
姿を見る度に。
声を聴くたびに。
触れ合うたびに。


君が私を愛し、私が君を愛する限り。
何度も、何度も。
嬉しいことや楽しいことばかりではないだろう。
悲しいことや辛いこともあるだろう。
でも、君とならば歩いていける。


死が二人を別つときが来ても、君とならば、何度でも出会える気がする。
そう思って、咲夜は小さく微笑むと、愛する白哉に抱き着いた。
勢い余って白哉が後ろに倒れる。
それでも二人は幸せそうに笑いあうのだった。



2016.06.03 幸福編 完

これにて『蒼の瞳、紅の瞳』の本編は完結です。
ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
更新を楽しみにしているというお言葉もあり、完結を迎えることが出来ました。
このお話に目を通してくださった全ての方々に感謝申し上げます。
shirayuki


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