蒼の瞳、紅の瞳
■ 32.サボりは程々に

「・・・認めましたね?」
晴の笑みが悪いものになる。
「!!!!」
「さて、これは七緒さんに報告しておきますね。」
「証拠があったんじゃないの!?」


「ただの推測でしたけど。隊長を追いかけていて、道行く人の目撃情報と証言をもとに話をつなげていっただけなので。それから、着物に香りが移っていましたから。それで、確認したら、隊長がお店に来たとおっしゃっていました。」
「そんなに口の軽い子はいないはずなんだけどなぁ。」


「ふふふ。あそこの楼主は琥珀庵の常連ですからね。いつもお菓子を買っていってくださるんですよ?」
「・・・そんなのずるいじゃないの。」
「まさか、牡丹さんのお店に行ったんですか?」
「・・・蓮君も知っている人だったのか。」


『京楽、ほどほどにしないと、晴を怒らせた上に、伊勢副隊長と山じいまで怒らせることになるぞ。』
咲夜が面白そうに言った。
「あはは。それは勘弁。というか、琥珀庵には色々な常連さんが居るんだねぇ。いやぁ、怖い。怖い。」
そう言いつつも京楽は笑っている。


「それは、流魂街の茶屋ですからねぇ。色々な人が来るのですよ。それに、朽木家の皆さんのお蔭で貴族や死神の方々に来ていただくこともありますから。色々なお話を聞くこともありますし。」


「蓮君の言うとおりです。それに、昔から茶屋というのは情報交換の場でもありますからね。さて、京楽隊長、帰りますよ。今日は残務整理の日なんですから。隊長がため込んだ書類がたくさんあるんですからね。逃がしませんよ。」
「・・・はい。」


『あはは。頑張れよ、京楽。』
「では、失礼いたしました。」
晴はそう言うと京楽を引きずるようにして隊舎へと向かっていったのだった。


『京楽ってば学習しないねぇ。』
「はは。そうだな。まぁ、あれが京楽だから仕方ないだろ。」
「あはは。でも、京楽隊長は凄い人だと思います。毎日隊士たちの顔をしっかりと見ているんですから。晴も、あんなことを言っていますが、京楽隊長を尊敬しているのですよ。」


「そうか。まぁ、京楽はあれくらいがいいのだろう。昔から貴族らしい扱いを受けたり、頭を下げられたりするのが苦手な奴だからな。」
『あはは。そうだったね。』


「さて、青藍。午後の稽古を始めるか。」
「はい!よろしくお願いします!」
「橙晴と、茶羅も行きますか。」
「「うん!」」
[ prev / next ]
top
×
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -