蒼の瞳、紅の瞳
■ 30.懲りない男

『青藍と蓮は、仲良しだなぁ。』
二人の会話を聞いていたらしい咲夜が言った。
「「そうですか?」」
二人して首を傾げている。


『あはは。蓮、青藍とは良い友でいてやってくれよ。きっと長い付き合いだろうから。』
「もちろんです。」
「僕はあまり友人が居ないので、それは頼もしいです。これからもよろしくお願いしますね、蓮殿。」
「はい。こちらこそよろしくお願いします、青藍殿。」
二人はそう言って頭を下げ合う。


『・・・君たち、ちょっと礼儀正しすぎやしないか?名など呼び捨てでいいだろう。』
「僕などが青藍殿を呼び捨てにするなど・・・。」
「僕は構いませんよ。というか、蓮殿の方が年上なのですから、敬語もいりません。」
「でも、僕は流魂街出身ですから。・・・。」


「そんなこと、気にしませんよ。流魂街出身だろうと、その身に流れるのは周防家の血ではありませんか。もちろん、そんなものなくとも、蓮殿は蓮殿ですけど。それに、僕、実はちょっとうれしいのです。蓮殿も僕と同じで左右の瞳の色が違うでしょう?なんか、親近感が湧いてしまって・・・。ですから、僕のことは青藍とお呼びください。」
そう言って青藍はふわりと笑う。


「・・・そこまで言われてしまっては断れませんね。では青藍と呼ばせて頂きます。僕のことも蓮とお呼びください。敬語もいりませんよ。」
「わかった。蓮も敬語はいらないよ。」
「は・・・うん。よろしく、青藍。」


『橙晴と茶羅も呼び捨てで構わないぞ。対等に接してやってくれ。朽木の生まれだと言うだけで対等に接してくれる者は少ないのだ。』
「はい。」
困ったように言われて、蓮は心得たというように頷く。


「失礼いたします!」
食後のお茶をみんなでまったりと飲んでいると、そんな声が響いた。
見ると、そこには急いだ様子の晴が居た。
『晴?』
「晴ちゃんだー!」
「晴ちゃん。」
双子が嬉しそうにする。


「こんにちは、橙晴様に茶羅様。皆様、お久しぶりでございます。それにしても眩しいくらいの美形ぞろいですねぇ。眼福です。」
晴は嬉しそうに言った。
『ははは。ありがとう。』


「それでどうしたの?」
「蓮君!京楽隊長見なかった!?何処を探しても居なかったから、ここだと思ったのだけど。」
「いや、僕は朝見かけただけだなぁ。」
蓮の言葉に皆が同意する。


「そうですか・・・。では私はこれで。お邪魔いたしましたー!」
相当急いでいるのか、晴は早々に姿を消してしまった。
「・・・騒がしくてすみません。」
蓮が申し訳なさそうに言った。


『構わないさ。晴はいつも京楽を探しているな。』
「えぇ。なんでも京楽隊長の目付け役になったとか。」
『京楽はすぐにサボるからな。』
咲夜は苦笑しつつ言う。


「伊勢副隊長の差し金か。」
「そのようです。」
『さすがだな。最近仕事中にその辺で京楽の姿を見かける頻度が下がったのはそのせいか。』
「はは。そうかもしれません。」
「そう言えば、雨乾堂にもあまり来なくなったな。いつも酒を片手にやってくるのに。」
「毎日、京楽隊長の酒瓶の中身を水にすり替えているそうですよ。」


「・・・あ。」
青藍が突然声を上げた。
『来たな。』
咲夜も続いて何かに気が付いたらしい。
「あぁ、本当だ。」
「来たな。」
浮竹と白哉も気付いたようだ。


「懲りない人ですねぇ。」
青藍が呆れたように言った。
「はは。朝怒られたばかりだものな。」
「大方、酒でも持ってきたのだろう。」
『だろうな。水にすり替えられる前に隠れて呑もうとしているのだろう。』


「怒られるのが解っていてやっているのだからどうしようもないな。」
「使いを送りましょうか・・・あぁ、でも晴さんの霊圧も近づいてきましたね。戻ってくるみたいです。」
『はは。晴も鋭いなぁ。』
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