蒼の瞳、紅の瞳
■ 29.朽木家の男

『ふはっ。やっぱり白哉にそっくりだ!この生意気な感じは白哉だな。ねぇ、浮竹?』
「そうだな。昔の白哉はこんな風にいつも生意気だった。よく手を焼かされたよ。」
「というか、親子の会話なんですか?これ?僕には恋人の取り合いに見えるんですが。」


「確かにな。どうやら青藍は朽木家の男らしい。銀嶺殿や蒼純殿、それに白哉までもが漣を大切にしているからな。」
『あはは。私、朽木家の男と相性がいいのかもな。』
咲夜が茶化すように言った。


「咲夜と相性がいいのはこの私だけだ。」
『ふふふ。そうだなぁ。お爺様も蒼純様も青藍も橙晴も魅力的だが、私の一番はやっぱり白哉だ。』
咲夜は白哉を愛しそうな目で見つめる。
「当たり前だ。」
白哉もまた愛しそうに咲夜を見つめ返す。


「・・・普段からこうなんですから、僕が母上を攫うことなんてできないと思いますけどね。それでも心配するなんて、父上も相当ってことですね。」
そんな両親を見た青藍が呆れたようにつぶやく。
「ははは。青藍が一番大人に見えるから不思議だ。」
「そうですね。咲夜さんも、朽木隊長も相手のこととなると、いつもの冷静さを欠きますよね。」


「まぁ、あの二人はそのくらいがいいんだろう。漣もあれで感情表現が下手だからな。素直になれる相手が必要なのさ。」
「・・・朽木隊長は不器用な方ですしね。」
「ははは。蓮もそう思うか。」


「はい。最近は咲夜さんのお蔭なのか、感情が分かるようになってきましたが。それまでは相手に伝わらないことも多くて・・・。隊士たちも戸惑うことが多かったのですが、それもあまりなくなりましたし。」
「それはいいことだな。白哉は言葉が少ないから。」


「・・・仲が良いのはいいことですが、お二人が揃っていると、無防備になるので困ります。家族で街に出るとそれはもう注目の的なのですよ。」
「そうなんですよね。でもお二人は全く気にしないので、見ている方が恥ずかしいんですよね。」
青藍に蓮が同意する。


「ははは。最近朽木夫妻の仲の良さは流魂街でも話題になっているみたいだぞ。」
「えぇ。琥珀庵にいらっしゃることもあるので。その時は一目見ようとお客が殺到するんです。」
「あぁ、いつもご迷惑をおかけしています。」
青藍は申し訳なさそうに言った。


「いえいえ、父も母も兄も喜んでいますから。最近は、朽木夫妻がいらしたという噂を聞いた貴族の方にまで来ていただくこともありまして。」
「そういっていただけると助かります。貴族の間でも徐々に琥珀庵の名が広がってきているようですよ。もちろん、瑛二殿が周防家の者だということは知られていませんが。」
「そうなのですか?」


「あぁ。京楽も言っていたな。今度行ってみたいってさ。あいつは甘いものも好きだからなぁ。」
「それは嬉しいですね。」
「周防殿もよくいらっしゃるそうで。」


「はい。お爺様も伯父様も気に入ってくださったようで。それから副隊長方もよくいらっしゃるのですよ。ルキアさんなど、現世の井上さんがいらっしゃると必ず琥珀庵に寄って行かれます。」
「ルキア姉さまも嬉しそうにお土産を持ってきてくれます。橙晴と茶羅はいつも喜んで飛びついているのですよ。」
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