蒼の瞳、紅の瞳
■ 26.相変わらずな両親

翌日。
浮竹と蓮は朽木邸に来ていた。
「やぁ、青藍。久しぶりだなぁ。」
「十四郎殿!蓮殿も。・・・それと春水殿?」
青藍は不思議そうに首を傾げた。
京楽の気配を感じたらしい。


「京楽?まったく、彼奴は・・・。よし、青藍、京楽を捕まえてきなさい。」
浮竹は笑顔で言い放った。
蓮は苦笑いだ。
「はい。・・・縛道の四、這縄。」
そう返事をすると、青藍は縛道を放った。
すると、木の上から落ちてくるものがある。


「やぁ、青藍。相変わらず、鋭いねぇ。」
京楽は足首を捕えられて逆さまにぶら下がっている。
「何をやっているんだ、お前は・・・。」
「いやぁ、今日は残務整理の日でねぇ。逃げてきちゃった。」
悪びれもなく京楽は言った。


「・・・はぁ。後で伊勢副隊長に怒られても知らないぞ。」
「そんなぁ。浮竹も共犯でしょ。僕を匿っているんだから。もちろん青藍もね。」
「・・・僕はそんなことに協力しません。と言うか、すでに伊勢副隊長には連絡済です。」
さらっと青藍は言う。


「何だって!?いつの間に!?っていうか、七緒ちゃんを知っているの?」
「はい。うちの邸には女性死神協会の隠し部屋がありますからね。副会長の七緒さんとは顔見知りです。」


「京楽隊長、何をしていらっしゃるのですか?」
突然聞こえた声に、京楽は恐る恐る後ろを振り向いた。
「や、やぁ、七緒ちゃん。今日も美人だね。」
「・・・縛道の六十三、鎖条鎖縛。」
七緒は京楽の挨拶に返事をすることなく、鬼道を放った。


「・・・さて、では私はこれで。お騒がせいたしました。青藍君もいつもありがとう。」
京楽を縛り上げると、何事もなかったように七緒は青藍に話しかけた。
「いえ。お仕事頑張ってくださいね。」
青藍はそう言って七緒に笑顔を向ける。


「ちょっと、僕にそんな顔見せたことないじゃない。なんで!?」
「・・・日ごろの行いだと思いますよ。」
「君、本当に、朽木隊長に似てるよね。」
「褒め言葉ですね。」


「・・・。」
青藍の返しに京楽は言葉を失う。
「ははは。さすが漣と白哉の子だなぁ。京楽、これでは分が悪いぞ。」
浮竹はからかうように言った。


「・・・ほんとだね。」
「さて、隊長、仕事が山ほどあるんです。行きますよ。」
「・・・はい。」
そして京楽は引きずられていったのだった。


「それで、今日は漣も非番だよな?居ないのか?」
「いえ、居るには居るのですが・・・。」
青藍が言い難そうにある方向へ目を向ける。
そちらにはある二つの霊圧があった。


「・・・わかった。なんとなく理解した。今日は白哉も非番だったな。」
「あはは。相変わらずのようで。そのうち姿を見せるとは思うのですが・・・。」
青藍は困ったように笑った。
『まぁ、たまには二人の時間が必要だろう。』
「そうですね。仲が良いのはよいことです。時々困ることもありますが。」
「ははは。青藍は大人だなぁ。」


「「蓮だ!じゅうしろーも居る!」」
橙晴と茶羅がやってきた。
「こらこら、呼び捨てはいけません。というかまずはご挨拶です。」
そんな二人を青藍が窘める。


「「はぁい。こんにちは!十四郎殿、蓮殿。」」
「あぁ。」
「こんにちは。」
「「蓮殿、遊ぼう?」」
二人は蓮の裾を掴んでいった。


「いいですよ。何をしましょう?」
「「かくれんぼ!」」
「解りました。では向こうに行きましょうか。ここでは青藍殿の邪魔になってしまいます。」
「「はーい!」」
蓮はそう言って二人を連れて行く。


「さて、稽古を始めるか。」
「はい。」
「今日は何がいい?」
「斬術をお願いします。」
そして稽古が始められたのだった。
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