蒼の瞳、紅の瞳
■ 25.仲良しは程々に

「・・・ごほん。皆さま仲がよろしいのは結構ですが、夕餉の準備が整っております。」
清家が気まずそうに言った。
『あはは。すまない。ほら皆、おなかが空いただろう?手を洗ってきなさい。』
「はい。」


「「はーい。姉さまも行こう?」」
「あぁ。」
四人はそう言って邸の奥へと向かっていく。
『ほら、白哉も。』


「全員そろうのは久しぶりだな。」
『ふふ。そうだな。白哉とルキアは忙しいからな。』
「明日は非番だろう?」
『そうだな。』


「私も明日非番になった。・・・ルキアと恋次がそのように合わせてくれたのだが。」
『ふふふ。そうか。それは嬉しいな。明日はゆっくりできるのか。』
「あぁ。二人でな。」
『二人で?』


「そうだ。たまにはいいだろう。最近そなたは子供の相手ばかりだ。」
白哉は拗ねたように言った。
『はは。寂しかったのか?』
「・・・五月蝿いぞ。」


『ふふ。可愛い奴だなぁ。』
「明日は浮竹が来るゆえ、青藍たちの相手をしていてくれるだろう。蓮も連れて来るそうだ。」
蓮は今や三番隊の第三席になって居た。
イヅルがとても助かっていると言っていたな。


主計殿とも顔を合わせ、何かあったら力になるとも言われているらしい。
妹の晴は八番隊に所属している。
京楽は彼女の鋭さに目を丸くすることが多いと言っていた。


『そうか。久しぶりに二人だな。どこかへ行くのか?』
「行きたいところがあるなら連れて行ってやる。」
『ふふふ。明日は家でゆっくりしよう。君は疲れているようだからな。』
「・・・そうか。では、私は咲夜を好きにしていいということだな。」


白哉の瞳が妖しい光を放つ。
ぞくり、とするような瞳だ。
相変わらず、咲夜は白哉のこの瞳に弱いのだ。


『いや、それは・・・。』
「夜が楽しみだ。」
『・・・!』
言葉に詰まる咲夜を面白そうに眺め、白哉は廊下を歩き始める。


『いや、ちょっと、待った。ほら、思い出した、私、行きたいところが・・・。』
咲夜は焦った声を出した。
「ほう?何処だ?」
白哉は足を止めて振り返る。


『それは、あの、えーと・・・。』
真っ直ぐに見つめてくる白哉に咲夜は口籠った。
そんな咲夜を見て、白哉は、ふ、と笑みを零した。
そして何か思いついたのか、咲夜に近寄って彼女の腕を引く。
目を合わせたまま、唇が触れそうな距離で白哉は言った。


「私の腕の中だろう?」
『!!!』
彼の唇は弧を描いている。
・・・こんなの勝てるわけがない。
咲夜は心の中で呟いた。


『・・・莫迦。』
あぁ顔が熱い。
「ほら、行くぞ。子供たちが待っている。」
その表情に満足したのか、白哉は咲夜の腕を引いて、廊下を歩きだしたのだった。
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