蒼の瞳、紅の瞳
■ 24.流れる年月

十数年後。
「「「母上!」」」
朽木家の庭を駆け回る元気な少年の姿があった。
そして、その後ろをついて回る双子の姿もある。


『青藍。橙晴、茶羅。』
咲夜を見つけて飛びついてきた三人を抱きとめ、咲夜は微笑んだ。
もう青藍はルキアと背が変わらないくらい大きくなっている。
ルキアと並んでいると双子のようだ。


咲夜は子供が生まれてからも死神を続けていた。
といっても、いまだに浮竹の世話係なので基本的に暇なのだが。
「今日は邸に居られるのですか?」
青藍が瞳をキラキラさせながら言った。


『あぁ。今日は白哉もルキアも帰ってくるぞ。』
「「ほんと?ルキア姉さまも帰ってくるの?」」
『あぁ。橙晴と茶羅はルキアが大好きだな。』
「「大好き!ルキア姉さまいつも楽しいお話をしてくれるの!」」
『そうか。』


「母上、父上が帰られるようですよ。霊圧が近づいて来ています。ルキア姉さまもご一緒のようです。」
双子の頭を撫でていると、青藍が静かにそう言った。
青藍は霊圧を探るのが上手い。
教えたわけではないのだが、白哉と咲夜、ルキアに双子の霊圧をすぐに見つけることが出来るのだ。


もちろん、他の死神たちの霊圧もすぐに感じ取るのだが。
霊圧を消した隊長格すらも見つけるなんて私に似たのかなぁ。
「母上、父上とルキア姉さま、お出迎えにいこう?」
「青藍兄様も行こう?」
双子はそう言って咲夜と青藍の手を引いた。
『あぁ、そうだな。皆で迎えよう。』


四人でもつれ合いながら玄関に行くと、ちょうど二人が入ってきたところだった。
使用人たちが出迎えている。
「「「おかえりなさい!!」」」
三人はそう言って、二人の元に駈け出していく。


「あぁ、ただいま。良い子にしていたか?」
白哉はそう言って子供たちの頭を撫でる。
「「「はい!」」」
「そうか。」


「父上、今日は稽古をつけてくださいますか?」
「いいだろう。夕食後に道場に来るがよい。」
「はい!」
最近の青藍は白哉との稽古が楽しくて仕方がないらしい。


「「姉さま!今日もお話し、聞かせてくれる?」」
「もちろんだ。今日は何の話が良い?」
「「現世のお話!!!」」
「そうか。では現世に居るオレンジの死神のことを話してやろう。」
「「やったぁー!!」」


『ふふふ。二人ともお帰り。』
咲夜がそう言って近づくと、白哉は子供たちの前であることも気にせず、彼女を抱きしめた。
使用人たちももう慣れたのか、静かに見守っている。


「ただいま帰りました、咲夜姉さま。」
それを見て苦笑しつつルキアがそう言った。
「あぁ。ただいま。」
『今日もお疲れ様。』
咲夜はそう言って彼の背中に手を回す。


「「父上と母上は、仲良し?」」
その様子を見た双子がルキアに問うた。
「そうだぞ。兄様と姉さまはとっても仲良しなのだ。」
「「仲良しだと、ぎゅーってするの?」」
「そうだ。」


「「じゃあルキア姉さまと青藍兄様もぎゅー!!」」
「わぁ!?ちょっと二人とも・・・。」
青藍は驚きつつも飛びついてきた双子を受け止める。
「ふふ。」
ルキアも嬉しそうに三人をまとめて抱きしめた。


「ルキア姉さま!僕まで抱きしめてどうするんです!」
青藍は焦ったように言った。
「いいではないか。青藍と私も仲良しだろう?」
「それは・・・。」


「違うのか・・・。そうか・・・。」
言葉に詰まった青藍にルキアは落ち込む。
「い、いいえ!ルキア姉さまとも仲良しです!」
そんなルキアに青藍は慌てて彼女を抱きしめるのだった。
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