蒼の瞳、紅の瞳
■ 19.妾でもよかろ?

「それで、いつまで咲夜の体に降りているつもりだ?」
『少しくらい良いではないか。眠るのに飽きることもある。・・・それにしても、良い子じゃの。妾がそばに居ても普通に眠っておる。さすが咲夜と愛し子の子じゃ。』
「早々に眠りにつけ。」
白哉は迷惑そうに言った。


『まったく、妾にそのような口を利くとは生意気じゃの。蒼純は妾にそのような口は利かなかったぞ。』
「そんなことは知らぬ。私は咲夜を返せと言っているのだ。」
『ほう?妾とて咲夜の一部じゃぞ。どうじゃ?姿は咲夜と同じなのじゃ。妾でもよかろ?』
霊妃はそういって、白哉に抱き着いた。


「私は咲夜の姿だけを愛しているわけではない。」
『妾にも靡かぬとはな。』
「私は咲夜の全てを受け止めると誓った。故に、そなたが咲夜の一部なら私はそれを受け止めよう。だが、私が愛しているのは咲夜だ。」


『ふむ。咲夜の目は間違っていないようじゃの。確かにいい男じゃ。愛し子に相応しい。』
霊妃は至近距離で白哉を見つめてそういった。
その瞳には厳しさはなく、母親のような優しい瞳である。
そして、白哉から離れた。


『さて、そなたら、名は何という?』
「私は朽木白哉。この赤子は私の息子、青藍だ。」
「俺は浮竹十四郎。漣の同期だ。」
「僕は京楽春水。僕も咲ちゃんの同期さ。」
「私は朽木ルキアと申します。白哉兄様の妹にございます。」


『そうか。咲夜にはそなたらがいるのじゃな。家族が、できたのじゃな。友人もいるのじゃな。』
霊妃はそう言って満足そうに微笑む。


『そなたらにとって、咲夜はどういう存在じゃ?』
「漣は、大切な友人だ。」
「そうだねぇ。僕ら三人はもう離れることはないと思うよ。」
「姉さまは、私の大切な家族です。姉さまのお蔭で、私は色々な幸せを知ることが出来ました。」

『白哉は?』
「咲夜は私の特別だ。愛している。」
白哉はそう言い切った。
『そうか。』
霊妃はそんな白哉を眩しそうに見つめた。


『咲夜は愛されているのじゃな。昔のように、一人にはされていないのじゃな。もう、辛くて私を呼び出すことなどないのじゃな。』
「当然だ。私がそばに居るのだからな。あのような思いは二度とさせぬ。」
『ふふ。ずいぶんと自信があるようじゃの。』
「咲夜が私を愛してくれているからな。」
霊妃のからかうような問いにも白哉はきっぱりと答える。


『・・・そうか。それならいい。剣の巫女は他人を本当に愛することも他人から愛されることも稀なのじゃ。妾に対する恐れが、それを難しくさせる。じゃが咲夜は。最後の剣の巫女は、愛し愛されているのじゃな。これからも咲夜を頼むぞ。これは、力は強いが弱い。支えてやるのじゃぞ。』


「言われずとも。」
「そうだな。」
「そうだね。」
「そうですね。」
霊妃の言葉に皆が頷く。
『ふふふ。頼もしいことじゃ。』
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