蒼の瞳、紅の瞳
■ 16.霊妃

浮竹と京楽が話していると、ある霊圧が近づいてきた。
「お迎えが来たみたいだね。」
「あぁ。朽木も一緒のようだ。」
「まったく、過保護だねぇ。」
京楽が面白がるように言った。


「まぁ、漣が相手だからな。仕方ないんじゃないか?」
浮竹も苦笑して返す。
「あはは。確かに。きっと僕だったら毎日心配で夜も眠れないよ。」
「そうかもな。」


「浮竹隊長。」
そんな話をしていると、外から声が掛かった。
「あぁ、入っていいぞ。」
「失礼いたします。」
「失礼する。」
浮竹が許可をだすと、ルキアに続いて白哉が入ってきた。


「やぁ。」
京楽はそんな二人に声を掛ける。
「京楽隊長。いらしていたのですね。」
「・・・副隊長が探していたようだが。」
「あはは。そうなの?それは大変だねぇ。」
冷たく言った白哉に、京楽は他人事のように返す。


「京楽、仕事は終わったんじゃないのか?」
そんな京楽に浮竹は呆れたように言った。
「終わったよ。昨日の分はね。」
「それは、終わっているとは言わない。」


「まぁ、いいじゃないの。」
浮竹の言葉も意に反さない様子にルキアは苦笑いである。
「兄がどのように副隊長に扱われようが私の知ったことではないがな、私の隊に迷惑をかけるなよ。」
「やだなぁ。ちゃんと期限前には終わらせてるじゃないの。」


そんな話をしていると、咲夜が目を覚ました。
『・・・。』
ゆっくりと起き上がり、部屋を見回す。
「漣?」
いつもと様子が違う咲夜に浮竹は声を掛けた。


それに応じたのか、咲夜は浮竹に目を合わせる。
「!!!」
目があった瞬間、浮竹は動けなくなった。
「浮竹?どうしたの?」
心配そうに問うた京楽に、浮竹は咲夜の方を見ろと視線を向ける。
「?・・・咲ちゃん?」
そして京楽もまた咲夜の目を見て固まった。


白哉はその様子をじっと見つめていた。
これは咲夜ではない。
「・・・貴様、何者だ。」
その声に反応してか、咲夜は白哉を見る。


その瞳は、いつもの悪戯な光を帯びたものではなく、鋭さを感じさせる瞳だった。
『ほう。瞳を見ずとも妾と咲夜の違いに気付いたか。』
「何者だ、と聞いている。」
『妾は、霊妃。』


彼女が名乗ると同時に、瞳の色が赤い、赤い血のような色に染まる。
そして、彼女の纏う雰囲気は咲夜が舞を舞っている時のようなものに変わっていく。
その空気の鋭さに、ルキアは息を呑んだ。
「れいひ?」


『そうじゃ。妾は霊王の妻よ。久しぶりに咲夜に降りてみれば何やら賑やかになって居るようじゃの。』
「何故咲夜に降りる。」
『知らぬのか?漣の女は妾の神籬。妾をその身に降ろすもの。故に、漣の女は巫女と呼ばれる。』
霊妃は体の動きを確かめるように立ち上がった。
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