蒼の瞳、紅の瞳
■ 14.盗み聞き

「・・・やっぱり、ずるい。」
その様子を見ていた京楽が呟いた。
「そうだな。」
「確かに。」
「これはずるいですね。」
その呟きに周りの者たちも同意する。


「・・・でも、お似合いだな。悔しいけど。」
「あぁ。漣さん、幸せなんだな。」
羨ましそうに彼らは言った。
「白哉、漣を頼んだぞ。傷つけたら許さないからな。」
「そうだよ。僕ら、咲ちゃんの味方なんだから。」
浮竹と京楽が白哉を真っ直ぐに見つめて言った。


そんな彼らを白哉は一瞥した。
「兄らに言われずとも解っている。兄らこそ、咲夜を傷つけたらどうなるか解っているのであろうな?」
「あはは。僕らは咲ちゃんを傷つけたりできないよ。」
「はは。そうだな。俺たちでは漣に敵わない。」


「それから・・・浮竹。」
「なんだ?」
「兄にも咲夜を渡すつもりはない。」
その言葉に浮竹は動きを止める。


それを見つめた白哉は扉を開けて出て行く。
「それは一体どういう・・・?お待ちください、兄様!あ、あの、失礼いたしました!」
それを追うように、青藍を抱えたルキアは首を傾げつつも一礼して出ていった。


数秒の沈黙。
「「「「ぶはっ。」」」」
浮竹以外の者たちが一斉に吹き出す。
「笑い事じゃないだろう・・・。」
大笑いをし始めた京楽や同期たちに浮竹は呆れたように言った。


「だって・・・。」
「一番聞かれちゃいけない人に、聞かれてるし!」
「っていうか、朽木隊長聞いてたんだ。」
「でもあれじゃあ、浮竹たちでも敵わないな。」
「あぁ、面白い。」


「面白がるなよ・・・。」
浮竹は頭を抱える勢いである。
「まぁ、いいんじゃないの。朽木隊長にとって、それだけ浮竹が強力な敵だっていうことでしょ?」


「よくないだろう。白哉が敵に回るなんて俺の寿命が縮むぞ。というか、今は違うって俺言ったよな!?」
「あはは。言ってたねぇ。」
「白哉はちゃんとそこも聞いていたんだよな!?」


「さて、それはどうだろうねぇ。」
焦る浮竹に京楽は面白がるばかりである。
「・・・どうしてくれるんだ。」
そんな京楽に浮竹は恨めしげな視線を向ける。
「そうはいっても、話しだしたのは浮竹だしねぇ。僕らは君の話を聞いただけ。」


「「「そうだな。残念だったな、浮竹。」」」
「お前ら・・・。」
「まぁまぁ、落ち着きなよ。さぁ、皆で飲み明かそうじゃないか。」
こうして夜は更けていったのだった。
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