蒼の瞳、紅の瞳
■ 3.笑顔

『・・・しかし、見事に男ばかりだな。』
「ははは。そうだな。もともと女性が少ない上に、皆結婚したら辞めてしまうから。」
浮竹が咲夜の呟きに返事を返す。
宴が始まっても、浮竹と京楽は咲夜の隣を陣取っていた。
それでも周りには人が集まってきているのだが。


『そうか。というか、君たち、ずっと私の隣に居ていいのか?挨拶したい者もいるだろう。』
「あはは。僕らはここでいいの。ねぇ、浮竹?」
「そうだな。」
『そうなのか?』
「あぁ。白哉に怒られるからな。」


『・・・そういうことか。白哉も過保護だなぁ。』
咲夜はそう言ってふわりと笑う。
「「「!!!???」」」
その様子に周りに居た者たちは驚いた顔をする。


「・・・今の、見たか?」
「俺の見間違いでなければ。」
「笑ったよな?」
「笑っていたな。」


「「「笑った!?」」」
咲夜の微笑みを見た周りの者たちは信じられないという目で咲夜を見た。
「お前らどうしたんだ?」
それに気が付いた浮竹が彼らに問う。
「漣さんが笑った・・・。」


「そりゃあ、笑うだろう。」
浮竹が呆れたように言った。
「だって、学院時代はニコリともしなかったじゃないか!」
「あはは。今は違うってことだよね、咲ちゃん?」
『あ、あぁ。あの頃は、いろいろあって、笑えなかったというか・・・。』


「「「そうだったのか。」」」
「そうだな。お前はいろいろあったんだよな。」
浮竹が気遣うような視線を向ける。
『あぁ。でも、浮竹と京楽はそんな私に手を伸ばしてくれたんだ。』


「あはは。大したことじゃないでしょ。」
『そんなことはない。君たちが居なければ、私はここには居なかった。』
「俺たちが出来たのはそんなことくらいだ。本当にお前を救ったのは俺たちじゃない。」
「悔しいけどね。」


「漣さんを救った人って?」
話を聞いていた一人が聞いた。
「白哉だよ。」
「そうだねぇ。僕らじゃできなかったことをあっさりとやってくれっちゃったよねぇ。」
『確かに白哉には救われたが、君たちが欠けていても駄目だったと思うぞ?』


「咲ちゃん!!やっぱり咲ちゃん大好き。」
京楽はそういって咲夜に抱き着いた。
『うわ、なんだ?突然。』
「咲ちゃんってやっぱり無自覚。」
そういって、咲夜に頬ずりをする。


『やめろ。ひげ。』
咲夜は迷惑そうに京楽の頬を抓る。
「容赦ないよねぇ。」
「おい京楽、白哉に怒られるぞ。」


「そうだそうだ。」
「漣さんに抱き着くなんてずるいぞ!!」
咲夜に抱き着く京楽に各方面からブーイングが起こる。
「君たちは僕が羨ましいだけじゃないの・・・。」
京楽はそう言って渋々咲夜を開放する。
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