蒼の瞳、紅の瞳
■ 39.名前

朽木家には浮竹や京楽、総隊長を始めとした、そうそうたる面々が集合していた。
その中には咲夜の大叔父である十五夜の姿まである。
今日、生まれてきた子どもの名前を披露するのだ。


「何故このような・・・。」
白哉は頭を抱えたくなる。
本来は身内だけで済ませるはずだったのだが。


「咲ちゃんは?赤ちゃんは?」
「咲夜は?赤子はどうした?」
皆が、口々に咲夜と子供のことを聞いてくる。
「もう少し待てと言っているだろう。すぐに来る。」


「兄様、姉さまの準備が整ったようでございます。」
「あぁ。では、ここを頼む。」
「はい。」
白哉はそういって、咲夜と我が子を迎えに別室に向かった。


こんなに人が集まるとは・・・。
浮竹は広間に居る死神たちを見て苦笑した。
「楽しみだねぇ。浮竹。」
「あぁ。漣は元気なのか?」
「たぶんね。そうじゃなければ、朽木隊長は僕らを追い出すだろう。」
「はは。確かに。」


たわいもない話をしていると、京楽が呟いた。
「ほら、霊圧が近づいてくるよ。」
そして、襖が開けられ、白哉と漣、それから漣の腕に抱かれている赤子が現れた。
その姿に、その場にいた全員が見とれているのが分かる。
「咲ちゃん、綺麗だね。なんか、きらきらしてる。」
「あぁ。そうだな。本当に。」


『皆、今日は駈けつけてくれてありがとう。私と白哉の子が生まれた。元気な男の子だ。』
咲夜はそう言ってほほ笑む。
「おめでとう。」
「おめでとうございます。」
皆が口々に祝いの言葉を述べる。


『ありがとう。この子が、私たちの子だ。』
「名前はなんていうんだい?」
『ふふふ。』
「青藍だ。朽木青藍と言う。」
『二人で決めた。というか、二人とも同じことを考えていたのでな。ね、青藍?』


咲夜が話しかけると、青藍は返事をするように閉じていた瞼を開いた。
その瞳の色に、一同は息を呑んだ。
右は青の瞳。
左は藍の瞳。


『綺麗な瞳をしているだろう?』
「美しいねぇ。」
「あぁ。」
「僕の瞳もこの右目と同じ色だ。僕に似たのかなぁ。」
十五夜はそう言って頬を緩ませる。


「違う。これは咲夜に似たのだ。」
十五夜の言葉を白哉は切り捨てる。
「いいじゃないか。僕だって、咲夜と血がつながっているんだぞ。」
「五月蝿い。黙れ。」
『こらこら、喧嘩をするな。大叔父様も、あまり白哉をからかわないでください。』
咲夜が困ったように言った。
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