蒼の瞳、紅の瞳
■ 22.懐かしい顔

『・・・あぁ、そうだ!昔、漣家に居た女中だろう?確か、佳乃だったか?』
「はい。そうでございます。覚えていらしたのですね。200年ほど前、でしょうか。あの時は大変お世話になりました。」
そういって彼女はふわりと笑う。


あぁ、そうだ。
こんな風に笑う人だった。
『では、そちらはあの瑛二殿か?』
「はい。その節は大変お世話になりました。咲夜さま。」
そう言って彼は軽く頭を下げる。


『ふふふ。懐かしいなぁ。そうか。蓮は貴方たちの息子だったのか。』
「はい。これは長男の燿と申します。」
「お初にお目にかかります。朽木さま。」
「えぇと、一体どういう・・・?」


『ははは。その様子だと聞いていないようだな。』
訳が分からないと言った様子の蓮に咲夜は笑っていった。
「ふふ。その話は座ってからでもよろしいでしょう。どうぞ、お座りになってくださいな。」


『あぁ、では遠慮なく。』
勧められるがままに、咲夜たちは席に着く。
「さて、何になさいましょうか?」
佳乃はにこにこと微笑みながら言った。


『うーん・・・。悩むなぁ。お勧めは?』
「本日のおすすめは、烏龍茶にございます。胡麻団子などとよく合いますよ。」
『じゃあ、烏龍茶と胡麻団子。白哉はどうする?』
「私も烏龍茶とやらにしよう。それから、何か甘くないものを。」
「かしこまりました。」


『睦月は?』
「俺も咲夜さんと同じで。あとパフェも全部のせで頼む。」
睦月の注文に白哉の表情が苦々しいものになる。
『さすが甘党。見ろ、白哉のこの表情。』


「別にいいだろう。俺の勝手だ。ご当主もそんな顔しないでくださいよ。」
「・・・理解できぬ。」
「ふふ。はい。蓮はいつものでいいでしょう?」
「うん。」


注文を聞いて瑛二と燿は厨へと入っていく。
『それにしても、こんな偶然があるのだな。』
「はい。蓮から朽木夫妻がいらっしゃると聞いた時には驚きました。咲夜様にもう一度会う機会があるとは・・・。」


『ふふ。幸せそうだな。』
「えぇ。子供たちも立派に育ちましたし。」
『そういえば、蓮には妹が居ると聞いたのだが。』
「はい。今は霊術院におりまして。名は晴と申します。今は五回生なのですが。」
『そうなのか?私たち、最近霊術院で講師をしたんだ。そこに居たかもしれないな。』
「あら、では、あの子が言っていたのは朽木ご夫妻のことだったのですね。」
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