蒼の瞳、紅の瞳
■ 14.幸せな悩み

「ルキア、そのように急がずとも・・・。」
ルキアが開け放った扉から、白哉が現れる。
そして、咲夜に抱き着いて泣いているルキアを見て、一瞬驚いたような表情をしてから、優しいまなざしを向けた。


『白哉。・・・皆が、祝福してくれる。』
「当たり前だ。私と、咲夜の子どもなのだから。」
「そうだぞ。漣の子どもなら、俺だって自分のことのように嬉しい。」
「そうそう。咲ちゃんの子どもが見られるなんて、楽しみだなぁ。」
「どっちに似ても、可愛いんだろうなぁ。」


「だろうねぇ。朽木隊長も、赤ちゃんのころは本当に可愛かったものね。僕の両掌くらいしかなかったんだよ。」
京楽が懐かしそうに言う。
「そうだったな。あっという間に、大きくなってしまったが。その白哉が、父親になるのか。・・・先を越されてしまったな、京楽。」


「ほんとだよ。どうする?僕ら子どもなんて育てられるかな?」
「俺は兄弟が多いからなぁ。子守りは得意だぞ。」
「・・・育てるのは兄らではないぞ。」
「いいじゃないか。咲ちゃんの子どもなら僕らの子どもみたいなものだよ。」


『ふふふ。父親が三人も居るのか。生まれる前からこの調子では、この子は苦労するだろうな。』
そう言いつつも、咲夜は嬉しそうである。
「・・・父親は私だけでいい。」
白哉は拗ねたように言う。


『ふふ。いいじゃないか。みんなに可愛がってもらえるのだから。白哉だって、そうやって育てられたのだぞ。』
「山じいも相当可愛がるだろうねぇ。」
「そうだな。それに銀嶺殿も。」
『たぶん、大叔父様もだ。』


「一体何人居るのだ・・・。」
溜め息を吐きつつ、白哉がそう零した。
『何人居たって、私と白哉の子であることは変わりあるまい?』
「それは・・・そうだが。」


「ふふふ。幸せな悩みですね、兄様。」
落ち着いたルキアが笑いながら言った。
「違いない。」
「そうだな。」


「浮竹、咲夜のことで話があるのだが。」
皆が落ち着いたところで白哉は切り出した。
「あぁ、解っているぞ。漣の休隊の件だろう?」
「そうだ。咲夜には大人しくしていてもらわねばな。」
咲夜を見ながら、白哉は言う。


「そうだな。白哉と漣の大切な子だものな。将来が楽しみだ。」
『ふふふ。私と白哉の子で、朽木家と、浮竹や京楽たちまで一緒に育ててくれるのだぞ?嫌でも優秀な子になるだろう。まぁ、甘やかされすぎて我が儘になることも考えられるが。』
「我が儘なのは両親に似て、だろう?」


『何だって?』
「なんだと?」
「ははは。」
『笑って誤魔化すなよ、浮竹。』
「違うのか?まぁ、休隊届は俺が出しておく。問題なく受理されるだろう。」


「本当は除籍にしてしまいたいのだがな。総隊長が受け入れてくれなかったのだ。」
納得いかない、というように白哉は不満げにそう言った。
「先生も漣を白哉に取られたのが悔しいのだろう。俺と京楽も、お前が漣と結婚すると聞いた時はそう思ったものだ。」
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