蒼の瞳、紅の瞳
■ 13.幸せな報告

「「えぇ!?」」
妊娠が発覚した次の日。
雨乾堂から驚きの声が上がった。
『ふふふ。』
それを見て、咲夜は微笑む。


「ほ、本当、なんだな?」
『あぁ。』
「咲ちゃんが、お母さんになるの?」
『あぁ。』


「・・・おめでとう。良かったな。本当に、良かったな。」
「おめでとう、咲ちゃん。」
浮竹と京楽は泣きそうな顔で笑った。
『ふふ。どうして君たちが泣きそうになって居るんだ?』


「だって、咲ちゃん、幸せなんだなぁと、思ったら・・・。」
「お前が、幸せそうだから・・・。」
『そうか。私は、いつも君たちに心配をかけているからな。』
「本当だぞ。お前は俺たちがどれほどお前を心配しているか全然分かっていないようだがな。」


「もう、僕ら、咲ちゃんに関しては心配しすぎるほど心配しているんだよ。」
『うん。いつもありがとう。浮竹も、京楽も大好きだ。』
「咲ちゃん!」
そう言ってほほ笑む咲夜に京楽は抱き着いた。


『うわぁ!?京楽?』
「僕も咲ちゃんのこと、だぁい好き。」
「俺も好きだぞ。」
『あぁ。知ってる。』


「こらこら、京楽。この姿を白哉に見られたら怒られてしまうぞ。」
「いいじゃないの。嬉しいんだから。」
『ふふふ。浮竹もおいで。』
咲夜はそう言って浮竹の方に腕を伸ばした。
「いや、俺は・・・。」


『いいから、来てくれよ。ね?』
咲夜の様子に浮竹はおずおずと彼女に近付いた。
咲夜の腕が浮竹の背にも回される。
『ふふふ。』


「漣・・・?」
「咲ちゃん?」
『二人とも、あったかいなぁ。』
漣は何かを確かめるように俺と京楽の背を撫でる。


チラリと漣の顔を見ると、安心したように、嬉しそうに微笑んでいた。
幸せをかみしめているような、そんな微笑み。
こんな顔ができるようになったのか。
白哉に感謝だな。


あの漣が、こんなに他人を信頼しているのだ。
俺を、京楽を、信頼してくれているのだ。
『・・・よし。これ以上は本当に白哉に怒られるから、これくらいにしようか。』
漣は悪戯っぽくそう言って俺たち二人を解放したのだった。


「失礼します!!!」
三人で茶を飲んでいると、その言葉とともに、突然襖が開けられる。
そこには、焦った様子のルキアが居た。


『ルキア・・・?』
「ね、ねえさま・・・。」
ルキアは咲夜の顔を見ると、その大きな瞳に涙を浮かべた。
ぽろり、とその涙が零れるのと同時に、ルキアは咲夜に抱き着いた。


「姉さま。おめ、おめでとう、ございます。」
ルキアは泣きながら咲夜に祝いの言葉を述べた。
『ふふふ。ありがとう、ルキア。』
「昨日、は、現世任務で、先ほど、かえって、きたのです。そしたら、にい、さまが・・・。」


『うん。』
ルキアを宥めるように咲夜は彼女の背中を優しく撫でる。
「う、うぅ、にい、さまが、本当に、うれし、そうで、わたしまで、うれしくて・・・。」
『・・・うん。』
「咲夜、ねえさま。ありがとう、ございます。ほんとうに、ありがとうござい、ます。」
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