蒼の瞳、紅の瞳
■ 7.婚約者・・・?

「何故だ!?咲夜と結婚するのは僕のはずだったのに・・・。君の婚約者は僕だったろう!?」


『「・・・は?」』
突然の婚約者発言に咲夜と白哉は耳を疑った。
『何を言っておられるのですか?』
「え?知らないの?」
『初耳です。』


信じられないという表情を見せる十五夜。
「だから僕は君が早く漣の当主になることを強く希望したんだ。姉上を早々に引退させてまで。そうすれば、お前と結婚するには、漣の姓を名乗るしかない。だが、お前に釣り合い、かつ、男の立場が弱い漣家に婿入りしてくることが出来る男などそうはいない。」


『・・・そんな理由で大叔父様は私を漣に留めたがっていたのですか?』
「そんな理由って・・・。なんで咲夜はこのことを知らないの?」
そう言って彼は叔母上を見た。
「教えておりませんので。」
叔母上はしれっとそう答える。


「ちょっ!?なんで?だって、これは咲夜が生まれたときに決まったことだろう?」
「えぇ。ですが、それは母上が勝手に決めたことです。私は同意しておりません。」
「それはそうだが、それでも僕は咲夜を娶るつもりでいた。」


「それがどういうことか解っていて、そう言っているのですか?」
叔母上の声が低くなる。
「でも、それが咲夜にとって一番いい選択だ。」
「・・・霊王宮に閉じ込めることが、ですか?」


閉じ込める?
私を?
『ちょっと待ってください。叔母上、それは一体どういう・・・?』
「私の母は、十五夜殿に貴女を娶らせ、貴女を霊王宮に連れて行こうとしたのです。・・・あの人は、森羅を手放したかった。どうしても。自分の息子を見捨てた斬魄刀を心の底から恨んでいた。」


「それは、違う!!!姉上は、咲夜のために・・・。」
「本当に咲夜殿のことを考えるのなら、漣家から解放することが一番良い方法だったはず。それなのに、あの人は彼女を家に縛り付け、自分のために、利用した。咲夜殿が、森羅に選ばれた剣の巫女であったから。あの人は決して咲夜殿を見ようとはしなかった!!私がどれほど言っても聞き入れてはもらえなかった!!」


叔母上の言葉に、当時の記憶が蘇る。
祖母は、森羅しか見えていなかった。
私は、森羅の付属品でしかなかったのだ。
だから、私は「道具」だったのだ。
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