蒼の瞳、紅の瞳
■ 3.破壊された六番隊

眠ってからから二刻ほど後、咲夜は目を覚ました。
すでに夕方である。
起き上がると、後ろから声がかけられる。
「起きたか。」
『浮竹。』
声のする方を向くと、読書をしていたのか、本を片手に浮竹がこちらを見ている。


最近、気が付くと眠っているな。
体調が優れないという訳ではないのだが、何となく、体が重いのだ。
一度、烈さんに相談した方がいいかも知れない。
・・・理由は何となく感じ取っている。
でもまだ、受け止める勇気がないのだ。


それに・・・。
白哉は喜んでくれるだろうか。
そう考えると、不安なのだ。
きっと喜んでくれると、頭では分かっているのだが。
不安定になるというのは本当らしいな。


『私はまた眠っていたのだな。』
「あぁ。よく眠っていたな。」
『仕事は?』
「今日は、追加の書類すら来ない。隊士たちにも早々に切り上げていいと言ってきた位だ。」


『そうか。・・・白哉は?』
「まだ定刻前だからな。来ていない。一度お前が眠った後に来たんだが。」
『それじゃあ、たまには私が迎えに行こうかな。』
そう言って咲夜は大きく伸びをする。
「そうするといい。」


『ルキアも一緒に帰っていいか?』
「いいぞ。朽木は今日、現世の調査に行っていたからな。今日はもう帰らせようと思っていたところだ。」
『そうか。じゃあ、私は帰る。また明日。』
「あぁ。また明日。」


ルキアと連れ立って、六番隊までやってきた咲夜は六番隊舎に入って言葉を失った。
「・・・姉さま?いかがなさいまし、た?」
立ち止まった咲夜にルキアは後ろから隊舎の中を覗く。
「・・・これは一体?」


床一面に散らばる、書類の山。
あちらこちらに撥ねた墨汁。
折れた筆。
割れた花瓶。
いつも整理整頓されている六番隊にしては珍しすぎる光景である。


『誰か居ないのかー?』
「・・・。」
咲夜が声を掛けるも返事がない。
此処だけ嵐でも来たみたいだ。
『・・・とりあえず、白哉を探そうか。』
「・・・そうですね。」


「あぁ、咲夜さん!!!」
ルキアとともに隊舎をうろうろしていると、聞きなれた声がする。
「恋次!ここに居たのか。・・・何があったのだ?ボロボロではないか。」
見ると、恋次の死覇装はところどころ破れ、小さな傷がいくつもある。
「俺もよく解らない。さっき、突然光ったと思ったら風が巻き起こって・・・。」


『怪我人は?』
恋次のけがを治しながら咲夜は聞いた。
「いや、俺が咄嗟にかばったんで隊士たちは無事です。隊舎の被害に遭ったのはこの辺だけですし。でも、隊長が・・・。」


『白哉?白哉はどうした!?』
恋次の様子に思わず咲夜は彼の胸倉をつかんでいった。
「うわ、ちょっ、落ち着いてください。隊長は無事です。・・・たぶん。」
『たぶんだと!?どこに居る?』


「それが・・・。」
恋次は困ったように言った。
「兄様は、どうしたのだ?」
「知らないやつに連れていかれました・・・。金髪の、男、だったと思います。一瞬だったので顔はよく見えませんでしたが。あぁ、でも真っ白な扇を持ってたっすね。」
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