蒼の瞳、紅の瞳
■ 40.他言無用

「しかし、斬魄刀と話すことが出来るだけならば、剣の巫女を隠す必要もないだろうに。」
『あはは。実はそれだけじゃなくてな。私は他人の斬魄刀を使える。そして、斬魄刀に愛された者であるから、斬魄刀では私は斬れない。』
「・・・は?」
咲夜の発言に、睦月はポカンとした顔になる。


『あはは。みんなそんな反応をするよね。・・・見せた方が早いか。千本桜。』
咲夜が声を掛けると、千本桜は刀を構えた。
「は?いや、何をしようと・・・。」
『いいぞ。来い、千本桜。』
咲夜に言われて、千本桜は刀を振り下ろした。
しかし、その刃はするりと咲夜の体をすり抜けるだけである。


『ほら、な?』
「・・・何でだ?どういう仕組みなんだ?お前の体はどうなっているんだ?」
睦月は信じられないものを見たような顔をした。
『さぁな。剣の巫女の力としか言いようがない。』


「あぁ、調べたい。解明したい。研究したい・・・。」
そう言って、睦月は懇願するように白哉を見た。
「・・・許さぬぞ。これに勝手に触れることは許さぬ。」
「そんなぁ・・・。」
『あはは。』
咲夜はそれから、自らの斬魄刀についても睦月に話した。


「・・・思った以上に厄介な能力だな。だから、剣の巫女は隠されたのか。」
『あぁ。私を利用しようと近づいてきたやつも居るくらいだ。今は、私は斬魄刀も剣の巫女の力もなくしたことになって居る。だから、他言無用なんだ。』
「他言したら・・・解っているな?」
白哉が睦月に鋭い視線を向ける。


「はい。俺は自分の命が惜しいので誓ってそのようなことはいたしません。」
そんな白哉に怯んだのか、何故か睦月は敬礼して答える。
・・・最近、睦月の性格がよく解らなくなってきた気がする。


この男はこんなに感情の変化が分かりやすかっただろうか?
それとも、優しい草薙睦月を演じる必要がないためだろうか?
まぁ、どうでもいいか。
睦月は睦月だしな。


『君の秘術とやらも厄介なものなんだろう?そんなものを使えることを言い触らされたくはないよね?』
「あぁ。そうだな。俺は、平和に生きたい・・・。」
『まぁ、君が口を滑らせなければ面倒なことには巻き込まれないだろう。』


「そんなことするものか!考えてもみろ。もしそうなったら、俺は確実にご当主様に切り刻まれるぞ。」
「無論だ。」
白哉は即答した。
「どう見ても本気だ。・・・絶対に言う訳ないだろう。」
『あはは。』


「お前の力について他に知っている人はいるのか?」
『山じい、浮竹、京楽、伊勢副隊長、烈さん、イヅル、冬獅郎、ルキア、それから銀嶺おじい様と叔母上、かな。あぁ、それから、マユリさんと涅副隊長も恐らく知っているだろう。その他の人たちは私が力を失ったままだと思って居るはずだ。』


「お前の能力を知っているということは、お前が信用していると考えていいんだな?」
『まぁそうだな。あぁ、でもマユリさんたちには気を付けた方がいいぞ。実験体にされるかもしれないからな。』
「あぁ。気を付ける。」



2016.05.10 蜜月編 完
〜息吹編に続く〜


睦月はこれからよく登場するかと思います。
彼の秘術についてもそのうち明かされるでしょう。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました!

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