蒼の瞳、紅の瞳
■ 39.種明かし

『・・・そうだったな。君はそういう奴だった。』
「研究はさせぬぞ。」
白哉はそれとなく咲夜を睦月から離しながら言った。
「そんな・・・。」
白哉の言葉に睦月はうなだれる。


『で、その剣の巫女とは斬魄刀に愛されたものでな。他人の斬魄刀と会話をすることもできるのだ。さっきは、千本桜に頼んで白哉に伝言してもらったのさ。ね?千本桜。』
「そうだな。」
咲夜の声にこたえて、千本桜が姿を見せる。


「は?・・・これが、斬魄刀なのか?というか、お前が出したのか?」
千本桜をまじまじと見つめて睦月が言った。
『そうだ。普通は具象化しても持ち主にしか見えないんだがな。私がやると、他の人にも見えるようになる。』


「これが剣の巫女の力なのか?」
『まぁな。千本桜は私と白哉の間を行ったり来たりしていることが多いな。色々と情報を交換することがあるからな。』


「我は咲夜に呼ばれるのも好きだぞ。」
『ははは。そうか。それは嬉しいな。いつも君を伝書鳩のように使っているから申し訳ないと思って居たんだ。』
「構わぬ。主の許しもある故、気にすることはない。我を好きに使え。」


『ふふふ。心強いな。その仮面の下の綺麗な顔を見せてくれるともっといいんだが。』
咲夜は千本桜の仮面に触れつつそう言った。
「それは・・・勘弁してほしい。」
咲夜の言葉に千本桜は微かにうろたえる。


『意外と恥ずかしがり屋だよな。白哉って千本桜の素顔を見たことはあるのか?』
「何度かある。」
『あはは。君に似ているよな。性格もだが。』
「それは、私の斬魄刀だからな。だが、私は千本桜ほど、短気ではないぞ。」


『そうだったか?』
「そうだ。」
「我はそれほど短気ではない。」
二人の会話に千本桜は不満そうである。
『ふふふ。やっぱり似ている。』


「・・・普通に会話しているが、これは普通のことではないんだよな?」
三人の会話を見ていた睦月がそう言った。
『そうだな。まぁ、千本桜は呼ぶことが多いから他の斬魄刀よりもよく話すが。』
「他の斬魄刀でもいいのか。」


『あぁ。斬魄刀から呼ばれることもよくあるしな。持ち主が始解できなければ、斬魄刀とその主は話すこともできない。その間、彼らは話し相手がいないことになるから、暇なとき、私に声を掛けてくる斬魄刀も居る。』
「その時も普通に話すのか?」


『まぁね。基本的に彼らの話を聞いて、相槌を打つだけだが。斬魄刀でも誰かに話を聞いて欲しいときがあるらしい。』
「斬魄刀にも心があるんだな。」
『そうだ。斬魄刀と死神は同じものだが、それぞれに心を持つ。故に、心を合わせなければ力を発揮することが出来ない。』
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