蒼の瞳、紅の瞳
■ 38.特殊な巫女

「それにしても、お前、本当に朽木白哉の妻だったんだな。」
草薙の頭領を見送った睦月はそう呟いた。
弥生はしばらく睦月のもとで手伝いをするらしく、睦月とともに残ることになった。
それでも、途中まで頭領を送って行くようだ。


『あはは。何だそれ。』
睦月の言葉に咲夜は笑い、白哉は怪訝な顔をする。
「だって、お前が呼んだらすぐに来るんだぞ?」
『昔から、白哉は呼ばなくても来るぞ。』
「何か悪いのか?」
咲夜の言葉に白哉は不満そうな顔をした。


『いや?私に異変を感じると、君はいつもそばに居てくれるからな。私はそれに助けられている。前にもそう言っただろう?今日も、君がそばに居てくれてよかった。』
咲夜はそう言って白哉に微笑む。
「それならいい。」
白哉もまたそれを満足そうに見つめた。


「そういえば、お前、どうやってご当主に連絡を取ったんだ?ずっとあそこに居たのに、何故、あの書類が揃えられた?」
『あはは。それは私が漣の巫女だからじゃないか?』
「どういうことだ?それに頭領が漣の中でも特殊な巫女だと言っていたが。」


『うん。びっくりだよね。見抜かれるなんて。』
「だから、それはどういうことなんだ?」
『ふふふ。私の能力だ。』
「そんなもの使わずとも、朽木家の情報網を使えばよかろうに。むやみに力を使うな。」


『いや、つい、ね。朽木家の情報網を使えば、いつでもどこでも連絡を取ることが出来るものね。まぁ、間に人が入るのが難点だが。』
「まぁな。」
「だから、お前の能力って何なんだよ!?」
睦月が焦れたように言う。


『うーん・・・。そうだねぇ・・・。ねぇ、白哉。教えてもいいと思う?』
「教えるなとは言わぬ。朽木家の医師となったのだ。咲夜についてきちんと知っている医師が一人くらいいてもいいだろう。」
『それもそうだね。一応、伝えておいた方がいいか。他言無用だぞ?』
「あぁ。」


『君、剣の巫女って知っているかい?』
「名前くらいは・・・。漣家に数世代に一人生まれたとされる巫女だろう?すでに生まれなくなったと聞いたが。」
『それは、漣家が作り上げた嘘だ。剣の巫女は今も存在する。』


「まさか・・・お前がそうなのか?」
睦月は信じられないと言った様子で咲夜を見つめた。
『そうだと言ったら?』
「研究したい!!」
『「・・・。」』
瞳を輝かせた睦月の即答に咲夜と白哉の二人は言葉を失った。
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