蒼の瞳、紅の瞳
■ 43.無自覚でも傍に居る

『普通は飲む作法が出来ていれば十分だろう。』
笑う二人に咲夜は不満げだ。
「・・・自分が普通だと思って居るのか?」
『私は普通だ。』
咲夜は言い切った。


「「「それはない。」」」
思わず、三人の声が揃う。
『な!?私は普通だろう!?』
「え?本当にそう思って居るのか・・・?」
「咲ちゃんに普通なところってあった・・・?」
「・・・ないな。」


『君たちひどいぞ!!』
「では聞くが、どこが普通なのだ?」
『どこからどう見ても普通だろう。』
白哉の問いに咲夜は胸を張って答える。


「それはない。」
「ないねぇ。」
「ないな。」
『三人とも何なのだ。私をいじめたいのか・・・。』
咲夜はそう言っていじけ始める。


「あはは。まぁ、そういう所も咲ちゃんらしいよね。」
「あぁ。自覚が全くないものな。」
「本当に、もう少し自覚してほしいものだ。」
『それ、褒めてないだろう。』


「褒めてるさ。それが咲ちゃんのいいところだよね。」
「ははは。そうだな。」
「そう拗ねるな。」
白哉はそう言って咲夜の頭を撫でる。
『・・・こんなんじゃ騙されないぞ。』
そう言いつつも無意識なのか白哉の手にすり寄っている。


「いいではないか。それでも私は咲夜の夫になったのだぞ。」
「そうそう。僕らだって、咲ちゃんの友人じゃないか。」
「そうだ。漣の周りには人がたくさんいるんだ。」
『・・・やっぱり、君たち私を騙そうとしているだろう。』


「疑り深いなぁ。俺たちはそんな漣も好きだと言っているのに。」
「そうだよ。僕らは咲ちゃんが可愛くて仕方がないんじゃない。」
「咲夜は私のものだぞ。」
浮竹と京楽の言葉に、白哉は咲夜を抱き寄せて二人を睨んだ。


『そうだぞ。それで、白哉は私のものだ。』
「それは残念。ほらほら、そう膨れてないで呑もうじゃないか。」
「そうだ。これは祝いの酒なのだからな。」
そう言って再び四人は呑み始める。
こうして夜は更けていくのだった。



2016.04.24 波乱編 完
〜蜜月編に続く〜
これにて波乱編は終了。
蜜月編は白哉さんと夢主のいちゃいちゃと日常が主な予定です。
たぶん。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます。

[ prev / next ]
top
×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -