蒼の瞳、紅の瞳
■ 38.命よりも大切なもの

『破道の四、白雷。』
咲夜の放った鬼道が玲奈の肩を貫いた。
「っ痛。」
『ごめんね。』
玲奈は片膝をつく。


「なにそれ・・・。」
『私はね。君よりも強いんだ。だから、もう、負けを認めた方がいいと思うぞ。』
咲夜の言葉に玲奈は俯く。
だが。


「・・・嫌よ。負けるわけにはいかないの。刺せ、鬼蜘蛛。」
すると、霊圧が溢れる。
『へぇ。面白いな。ここまで力の差があっても私に挑むのか。』
「当たり前じゃない。こんなところで、この縁組を壊すわけにはいかないのよ!!それが、それが、二宮家のためになるんだもの!!」


諦めてはくれないか。
では、仕方がない。
(聞け、鬼蜘蛛。私を斬れ。)
心の中で咲夜は鬼蜘蛛に話しかけた。
『・・・そう。じゃあ、チャンスをあげよう。私を斬ってみなよ。避けないからさ。』
「何を・・・。」


『いいから。斬ってみなよ。ほら。』
そう言って咲夜は手を広げる。
「そう・・・。じゃあ、遠慮はしないわ。」
玲奈はそう言って、咲夜に斬りこんだ。
すると、血しぶきがあがる。


「咲夜!!」
白哉が焦った声を出す。
『来るな!!』
「だが!!」


『いいから、白哉はそこで見ていろ。さぁ、二宮玲奈。勝負と、行こうじゃないか。私はこのまま戦ってあげるよ。』
咲夜はそう言ってほほ笑む。
「・・・無理よ。」
『何がだい?』


「だって、この、鬼蜘蛛の能力は毒だもの。切り口から毒が体に回って、死んでしまうもの。」
『そうか。それは大変だな。』
「何他人事のように言ってるのよ。貴女・・・死にかけているのよ?」


『ふふふ。心配してくれるのか?優しいな、君は。』
咲夜の指先が痙攣し始めた。
「だって、私は、貴女が憎いけれど、死んでほしいと思って居るわけじゃないもの。」
『どうして?私が死ねば、君は晴れて朽木家に嫁ぐことが出来るのに。』


「こんな、こんな、誰かを殺してまで、そんな、そんなもの、いらないわよ。」
徐々に玲奈の顔が蒼くなっていく。
『泣いてくれるのかい?私のために。』
「そんなこと、あるわけないでしょ。はや、く、治療をして。四番隊に行ってよ。私、まだ、解毒を教えてもらっていないの。」


『嫌だね。それでは私は君に負けたことになる。』
「そんなの、そんなの、命の方が大切でしょう!?」
『違うね。私の命なんかよりも大切なものがある。』
「え・・・?」
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