蒼の瞳、紅の瞳
■ 37.詐欺

「何笑ってるのよ!」
『いや、楽しいなぁと。』
「楽しむ状況じゃないでしょ!?」
『そう?』
「朽木隊長が懸っているのよ?貴女の旦那じゃない!!」


『そうだね。負けるつもりはないよ。』
「なんで、そんなに余裕なの!?」
『だって、私は白哉のものだし、白哉は私のものだから。』
咲夜は笑顔で答える。
「なんで、なんで、私じゃダメなのよ。」


『なんでって、言われてもなぁ。私の旦那を務められるのは白哉ぐらいじゃないか?』
「本当に腹立つわね!!」
『そう言われてもなぁ。実際そう思っちゃったんだもの。誰かを愛することに理由なんてないだろう?月並みな言い方だがね。』


「そんなの、私だって、解っているわよ。でも、私は貴族の姫として、そんなことは言っていられないの。貴女みたいには、生きられないのよ。」
『そうかなぁ。今の君なら好きに生きられると思うけど。』
「・・・仕方ないじゃない!!家のために、家が決めた相手と結婚するのは貴族の義務だわ。貴女は違うの!?」


『違うね。だって、私と白哉は愛し合っているもの。だから私は白哉と結婚したんだ。そこに、家の利益だの何だのは関係なかった。・・・まぁ、結果として双方の利益になって居るのかもしれないけれど。』
「だって、漣家のお見合いは、朽木家が潰したって・・・。」


『あはは。そうみたいだな。でもそれは、愛故に、だよ。ねぇ、白哉?』
咲夜はそう言って隊主室の窓から見ている白哉に目を向けた。
「・・・私に何を言わせる気だ。」
そんな咲夜に白哉は呆れているようである。


『えぇー、だって、私たちの結婚が政略結婚だなんて思われるの、なんか複雑じゃない?』
咲夜は不満げに言う。
「別に、そのようなことを気にする必要などないだろう。」
『そうかなぁ。って危ないな。』


「何よそ見して暢気に会話してるのよ。」
『だって、正直余裕だし。いいことを教えてあげよう。白哉は私の教え子だよ。』
「は?だって、貴方たちそんなに年齢変わらないじゃないの。」
『ふふふ。そう見えるかい?実は私、浮竹や京楽と同期なんだけれど。』
「はぁ!?何それ。詐欺じゃない!!」


『いい反応だなぁ。』
「感心してる場合じゃないわよ!!」
『あはは。それでね、私は白哉よりも強いよ。さらにいうと、浮竹や京楽よりも強い。』
「何を言っているの?そんなわけ・・・。」
刹那、玲奈の視界から咲夜が消えた。


『こっちだよ。』
そして、後ろから、声が聞こえる。
玲奈は咄嗟に振り返った。
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