蒼の瞳、紅の瞳
■ 34.対峙する

『失礼するよ。』
咲夜は隊主室に入る。
「咲夜か。」
咲夜の登場に白哉は安堵したような顔を見せる。
それに対して、隊主室に居た玲奈は咲夜を睨みつける。


「今さら、何の用ですの!?」
そう言って、咲夜に向かって敵意をあらわにする。
『やぁ、白哉。お疲れ様。』
そんな玲奈を通り過ぎて咲夜は真っ直ぐ白哉のもとに向かった。
「あぁ。」


『長い一か月だったな。』
咲夜はそう言って、白哉の頬に手を伸ばす。
「本当だ。私は疲れたぞ。」
そう言いながら、白哉は頬に添えられた咲夜の手をとると掌に口づけた。


『ふふふ。ごめんね。でも君のおかげで助かったよ。』
「そうか。だが、もう二度と、こんな思いは御免だな。」
『そうだな。私もだ。』
そう言って二人は微笑みあう。
玲奈はそんな二人を唖然として見つめていた。


『さて、それで、君は何故ここに居るのかな?』
くるりと振り返ると玲奈をみて、咲夜は笑顔でそう言った。
「何故って、私は・・・。」
『白哉の妻になる予定だから、か?』


「・・・そうですわ。若い男と遊んでいる貴女は朽木家に相応しくないもの。実家に連れ込んでいるのという情報もあるんですのよ。」
『へぇ?そうなのか。ねぇ、白哉。私、宿舎に泊まるとき以外は朽木家に帰っていたよね?』
「そうだな。」


「・・・え?」
白哉の答えに彼女の表情が変わった。
『さて、では、貴女の情報は誤ったものだ、ということになる。』
咲夜は笑みを崩さずにそう言った。


「でも、私たち、お見合いしましたのよ。」
『ふふふ。それは、私の公認だ。お蔭で白哉には悪い思いをさせたが。』
「全くだ。」
白哉が不機嫌に頷く。


『まぁ、朽木家は、というより、白哉は側室を娶るつもりなど毛頭ないがな。』
「妻は咲夜一人で十分だ。」
「え?・・・どういうことですの?」
『解らないのかい?』
笑顔の咲夜に玲奈は状況を理解したようだった。
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