蒼の瞳、紅の瞳
■ 33.救出に向かう

翌日。
咲夜は六番隊の隊舎に居た。
あの後、山じいに報告して、四十六室にも話を通した。
今日中にも正式に処分が発表されるらしい。
浮竹と京楽が文書を受け取って私のところに持ってきてくれる。


相変わらず、周りからの視線は鋭いものだが、咲夜は気にせず、隊主室に向かった。
「咲夜さん?」
その途中、後ろから声を掛けられる。
『恋次か。なんだか久しぶりだな。』


「大丈夫なんすか?色々と・・・。」
恋次が心配そうに咲夜に聞いた。
『ふふふ。もう少しですべてが終わる。』
「へ?」
楽しそうな咲夜に恋次は訳が分からない様子である。


『あぁ、そうか。言ってなかったな。実は、白哉と喧嘩しているというのは嘘だ。』
「え?えぇー!!!」
けろりとそう言った咲夜に恋次の驚きの声が響く。
『ははは。悪いな。ちょっと理由があって喧嘩しているふりをしていた。』
「え?じゃあ、隊長がお見合いをしたっていうのも?」


『いや、それは本当だ。お蔭で問題が解決しそうだ。白哉には感謝せねばな。』
「・・・俺は本当に肝が冷えました。隊長、ずっと不機嫌だったんすよ。」
『すまない。私のせいだな。』
「それに・・・。」
ここで恋次は声を潜める。


『それに?』
「二週間ほど前から、二宮が隊主室に居座るようになって・・・。」
『ははは。それは、愉快だな。すでに白哉の妻になったつもりで居るらしい。』
「笑い事じゃないっすよ。俺は、いつ隊長が切れるのかとずっとひやひやしてたんすからね!?隊長の機嫌が悪いのに、二宮の奴全く気にせずに隊長に色目を使って・・・。」


『へぇ?それは大変だったなぁ。』
「なんで他人事すか!!」
『いやぁ、だって、その方向に仕向けたのは私だし、白哉もそれを解っているから我慢してくれたんじゃないか。まぁ、屋敷に帰ってきた白哉は疲れ切っていて可哀そうだったが。』


「へ?咲夜さん、実家に戻っていたんじゃないんですか?」
『ふふふ。それも嘘だな。』
「えぇ!?じゃあ、南雲が咲夜さんの実家に居るっていうのは?」
『あぁ、それは本当だ。蓮に手を出されると面倒だからな。漣家で保護してもらっていた。仕事は十三番隊でちゃんとやっていたしね。』


「もうどこまでが本当で、どこからが嘘なんすか・・・。」
恋次が疲れたように言った。
『ふふ。嘘に真実を上手く混ぜることで真実味が増すというものだよ。』
「俺にも教えてくださいよ・・・。」


『いやぁ、悪いな。それより、これから白哉のところに行こうと思うんだが。』
「隊主室に居ますよ。二宮も一緒に。」
『ふふふ。そうか。ありがとう。じゃあ行ってくる。白哉を助けだしてくるよ。』
そう言って楽しげに隊主室に向かった咲夜をみて、恋次は大きなため息をついたのだった。
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