蒼の瞳、紅の瞳
■ 25.忠告

『君、詳しいなぁ。調べたのか?』
「いえ。三番隊にも上流貴族出身の隊士が居るもので。その辺の話はよく耳にするんです。」
『そんなに噂になって居るのか。私たちはそんなものまったく考えずに結婚を決めたぞ?というより、白哉がそう手回しをしたおかげで私に拒否権はなかったが。拒否するつもりもなかったけれど。』


「まぁ、それも原因の一つでしょうね。朽木家が強引に話を進めたということにされてもおかしくはないですから。」
『確かにそうだ。そういえば、白哉は何度か私の見合いを潰していたらしい。』
流石朽木隊長だ。
・・・確かに朽木家ならその権力で見合いを潰すことぐらい簡単にできるのだろうけれど。
イヅルは内心苦笑した。


「なんであれ、一応気を付けてくださいね。ちゃんと、朽木隊長にも伝えておくんですよ?」
『なんでだ?』
咲夜さんは首を傾げる。


「なんでって・・・。咲夜さんに何かあったら朽木隊長は心配するからですよ。」
呆れた。
この人は本当に・・・。
『でも、白哉に言ったらすぐに解決してしまう。』
咲夜さんは拗ねたように言った。
子どもみたいだ。


「本来ならば、それでいいんじゃないですか。」
『それじゃあ私が詰まらない。それに・・・。』
「それに?」
『私情で相手の家を潰しかねないぞ。』


確かに。
咲夜さんのためならやりかねない。
「・・・まぁ、そうですね。」
『それでは、その家に携わっている人たちに迷惑をかけるじゃないか。』
「・・・咲夜さんも他人への迷惑を気にするんですね。」


『どういう意味だ。』
じろりと、睨まれる。
「いえ。いつも自由な咲夜さんなので。とりあえず、何か起こりそうなことだけでもきちんと朽木隊長に伝えておくことです。貴族の諍いならば、朽木家でどうにかすることもできるんですから。いいですね?」


『・・・はーい。』
気のない返事だ。
本当に大丈夫だろうか。
「じゃあ、僕はこれで失礼します。」
多少不安を抱きつつもイヅルはその場を後にしたのだった。
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