蒼の瞳、紅の瞳
■ 22.鬼道の修練

それから一か月、咲夜は蓮への指導をみっちりと行った。
お蔭で入隊したばかりであるにも関わらず、蓮の書類整理の腕前は上位席官程度にまでなっている。


毎日のように黒刃と白刃の二人とともに出かける書類の配達も慣れてきたようだ。
蓮がやるべき書類の整理と配達は大体午前中に終わるようになり、咲夜は空いた午後の時間を使って蓮に実技を教えるようになって居た。


『今日は鬼道だ。詠唱破棄で赤火砲をあの的すべてに当ててみろ。』
そう言って咲夜が差した方向には百ほどの的が並んでいる。
『霊圧の制御を身に着けるには鬼道が一番効率的だ。それに、実践でも非常に役に立つ。・・・まぁ、剣八のような人種には必要のないことだけれどね。さぁ、やってみてくれ。』
「はい。・・・破道の三十一、赤火砲!!」


蓮は次々と鬼道を放ってゆく。
的中率は八割といったところか。
この一か月で咲夜は、蓮は何が得意なのか、何が不得意なのか指導しつつ観察していた。


やはり得意なのは鬼道だな。
白打を教え込むには体が幼すぎる。
筋力をつけすぎると、身長が伸びなかったりするんだよね。
今は型を教えるだけでいいだろう。


斬術は悪くはないが、やはり力がなぁ。
受け流し方を教えるしかなさそうだ。
瞬歩は日頃の成果だろう。
その辺の席官と同程度には扱える。
持久力もついてきたようだ。


となると。
『やはり、鬼道から教えるべきだな。』
そういう結論に至って、咲夜は鬼道から教え込むことにしたのだった。
「破道の三十一、赤火砲!!」
蓮の放った鬼道は見事に的中する。
どうやらそれが最後だったようだ。


「終わりました!!」
『よし。まぁ、いいだろう。じゃあ次は黒刃と白刃を狙ってみてくれ。二人とも、好きに動いていいぞ。もちろん、瞬歩でな。』
「「はーい!!」」
咲夜がそういうと、二人は駈けだした。


『蓮も瞬歩を使いつつ、鬼道を放ってみなさい。』
「はい。」
蓮は頷くとすぐに二人を追いかけ始めた。
「こっちだよー。」
「こっちにも居るよー。」
二人の言葉に振り回されつつも蓮は一生懸命に追いかけて鬼道を放っている。
[ prev / next ]
top
×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -