蒼の瞳、紅の瞳
■ 21.同じ疑問

七緒に引きずられて隊舎に戻って行った京楽を見送ると、定刻の鐘が鳴る。
『もうこんな時間か。蓮、君は上がっていいぞ。』
「え?でも・・・。」
咲夜の言葉に蓮は浮竹を見て戸惑った。


『浮竹もだいぶ回復しているようだから、大丈夫さ。それに、今日は疲れただろう。明日も君にやってもらうことはたくさんあるんだ。しっかり休みなさい。』
「・・・はい。それでは、お先に失礼します。」
蓮はそういうと、一礼して雨乾堂を出て行った。


すると、入れ替わるように白哉が現れる。
「失礼するぞ。」
『白哉か。』


「浮竹は?」
『割と元気になったんじゃないか?』
「・・・何故疑問形なのだ?」
『いや、さっきまでちょっと騒いでいたからな。まぁ、熱が上がったかもしれない。』


「・・・誰のせいだと思って居るんだ。」
浮竹が布団の中から弱々しく言った。
『浮竹が過剰に反応しすぎなんだろう。』
「だって、お前なぁ・・・。」
そう言って浮竹はため息をつく。


「・・・何をしたのだ。」
白哉が呆れたように咲夜に聞いた。
『ちょっと、浮竹への疑問をぶつけてみただけだ。浮竹には欲がないのかと思ってな。』
「・・・どうなのだ?」
白哉は浮竹に聞いた。


「俺に聞くなよ・・・。」
『ほら、やっぱりみんな気になって居るんじゃないか。白哉だって気になるだろう?』
「まぁな。」
「・・・白哉まで。」
浮竹は恨めしそうに白哉をじとりとにらんだ。


「欲はともかく、何故これだけ床についていてあの体を維持することができるのか、とは常々不思議に思って居た。」
「なんでお前ら二人して同じこと言うんだよ・・・。白哉だって相当鍛えているだろう。」


『でも、浮竹は白哉よりも筋肉量が多いと思うぞ?』
「私はあまり筋肉が付かないのでな。」
『本当に無駄のない体だよ。しなやかな筋肉だし。』
咲夜はそう言ってペタペタと白哉の体に触れる。


「・・・やめろ。」
『いいじゃないか。・・・昔は華奢だったのにな。』
「いつの話をしている。」
『百年ぐらい前。男はいいなぁ。成長しても無駄な部分がない。』
「そうか?」
『うん。女は柔らかくなるばかりだ。』


「・・・ごほん。お前らもう帰れよ。俺は寝る。」
またもや怪しい方向に向かっていこうとする会話を浮竹が遮る。
『一人で大丈夫か?』
「あぁ。薬を飲んだし、あとは寝ていれば回復するだろう。」


『それならいいが。看病しに来たのに騒いで悪かったな。』
「いや、いいさ。お蔭で楽になった。今日はよく眠れそうだ。」
『そうか。一応白刃をここに置いていく。白刃に言えば、何でもやってくれるだろう。白刃、頼んだぞ。』
咲夜がそういうと白刃が現れる。
「うん!黒刃も一緒にいい?」


『いいぞ。ちゃんと静かにしているんだぞ?ひどくなるようだったら、私にすぐ知らせること。』
「「はーい。」」
『じゃあ、帰るな。ちゃんと寝ろよ。』
そういうと、咲夜は白哉を連れて雨乾堂を後にした。
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