蒼の瞳、紅の瞳
■ 14.先生と同じ

「やぁ。君が噂の南雲蓮君かい?」
蓮が給湯室でお茶を淹れていると、後ろから声を掛けられた。
「そうですけど・・・って京楽隊長!?」


本当に来ていたんだ。
近くに居ても微かにしか感じられないほど霊圧が抑えられているのに、先生はすごい。
「なるほどねぇ。咲ちゃんが指導したくなるわけだ。」
まじまじと蓮を見た京楽はそう言った。


「へ?」
京楽の言葉に蓮は訳が分からないと言った様子で首を傾げる。
「あはは。そういう所が咲ちゃんにとって好ましいんだろうな。・・・それにしても変わった瞳をしているね。」


そう言われて、蓮は咄嗟に俯く。
しまった。
僕の瞳は左右で色が違うんだった。


「どうして俯くんだい?」
「いえ、その、僕の瞳は、変、なので・・・。」
その言葉に京楽は、はっとした表情になる。
そして、蓮の頭に手をのせてきた。


大きな手だ。
それに温かい。
「そんなことないさ。綺麗な瞳じゃないか。」


蓮は上から降ってきた言葉に顔を上げた。
「本当ですか?」
そんな蓮を見て京楽は優しい笑みを向ける。


「あぁ。それに、他人と違うことは悪いことじゃない。だって、みんな同じ容姿で、みんな同じ考えだったら詰まらないじゃないか。違うところがあるから面白いんじゃないの。それで、衝突することもあるけどね。だから、君は堂々と相手の目を見ていいんだよ。」


温かい人だ。
先生と同じだ。
蓮は自分が自分として認めてくれる人がいることに嬉しくなった。
「はいっ!!ありがとうございます!!」
笑顔になった蓮を見て京楽は安心する。


「じゃあ、僕は浮竹のところに行くよ。」
そういうと、京楽はひらりと着物を翻しながらくるりと背を向けた。
「はい。すぐにお茶をお持ちしますね。」
蓮がその背中に声を掛けるとひらり、と京楽は後ろ手を振ったのだった。
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