蒼の瞳、紅の瞳
■ 12.捕まえられない風

「朽木隊長は、先生のことがとても大切なんですね。」
六番隊舎を出たところで蓮はそう言った。
『そうか?』
「そうですよ。だって、僕に先生を頼むんですよ。先生がどこかに行くことが余程心配なんですね。」


『あはは。私には前科があるからな。また突然消えてしまうのではないかと不安なんだろうな。でも、それでも白哉は私を縛り付けることはしない。』
「それはそうですよ。先生は縛ることなんてできません。見ていてよく解りました。」
蓮は少し呆れたように言った。


『そうか?』
「そうです。先生は風のような人です。風を縛ることは出来ませんよ。それに・・・。」
『それに?』
「朽木隊長が先生を大切に思って居るように、先生も朽木隊長を大切に思って居るのでしょう?先生って、朽木隊長のこと、大好きですよね。」
蓮の言葉に咲夜は驚いた。


『そう見えるのか?』
「違いますか?」
蓮はそう言って咲夜を見る。
真っ直ぐな瞳に咲夜はたじろいだ。
『いや、違わないが・・・。』


「やっぱり。朽木隊長もそれを解っているから先生を縛らないんだと思いますよ。必ず自分のもとに帰ってくるという確信があるんでしょうね。・・・まぁ、副官室の前を通るたびに僕に向けられる視線は少し怖いですけど。」
そう言って蓮は笑う。


『いや、それは、すまない。気付いていたのか。』
「そりゃそうですよ。あんな視線を向けられて気が付かない人なんていません。」
この子は私が思って居る以上に他人をよく見ているらしい。
一日でこんなにもわかるのか。


・・・それとも私と白哉が解りやすいのだろうか?
嬉しいような、悲しいような、複雑な気分になった咲夜であった。
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