蒼の瞳、紅の瞳
■ 10.静かな時間

お茶を飲み終えると白哉が仕事に戻ったので、咲夜は湯呑を片付けてから副官室に戻る。
『さてさて、自分の仕事でもしますかね。』
そう言って咲夜は書類整理を始める。


この書類は十三番隊のものだ。
何でも今日は浮竹の調子が悪いらしい。
ルキアが困り顔で相談してきたので、咲夜は浮竹の分の仕事を引き受けたのだ。
さらさらと、咲夜が筆を滑らせる音が室内に響く。
静かだ。
咲夜はそう思った。


十三番隊に居る時は黒刃や白刃がパタパタと駆け回っていたのでいつも騒がしかったのだ。
それに、浮竹の世話をしている三席たちもなかなか騒がしかった。
騒がしいながらも仕事はきちんと熟しているようなので咲夜にはそれが不思議だったが。


それにしても、浮竹は大丈夫だろうか。
筆を止めることなく、咲夜はそう考えた。
後で薬を届けよう。
いや、蓮が帰ってきたら、彼と一緒に薬を作ってお見舞いに行こう。


それがいい。
よし。
じゃあ、これを早く処理してしまわねば。
蓮が帰ってくる前に。


『よし。これで終わりだ。』
相変わらず静かな副官室だったが、そんな咲夜の声が響いた。
すると、バタバタと聞きなれた騒がしい足音が聞こえてくる。
『帰ってきたか。』
咲夜がそう呟くと、大きな音を立てて副官室の扉が開けられた。


「「ただいまー!!」」
「はぁ、はっ。ただ、今、帰りました・・・。」
元気な二人とは対照的に、蓮は疲れ切った様子だ。


『お帰り。思ったより早かったな。』
「「うん!僕たち寄り道しなかったよ!」」
そう言った二人の腕にはたくさんのお菓子が抱えられている。
『それは何だ?』
「「蓮を待っているときにもらったの!」」
『そうか。誰にもらったんだ?』


「「誰だっけ?」」
咲夜の言葉に二人は首を傾げた。
「「いっぱい居るから忘れちゃった。」」
・・・まぁ、いいか。
この二人だし仕方ないよな。


「・・・主に卯ノ花隊長と、浮竹隊長ですよ。後は僕が書類を渡している間に隊士たちから貰ったみたいで・・・。」
漸く息が整ったのか、蓮がそう言った。
『そうか。後で礼を言わねばな。それで、どうだった?辛かったか?』


「はい。こんなに瞬歩を続けて使ったのは初めてですから。それに、この二人が自由すぎるので大変でした・・・。」
蓮は苦笑しつつ答える。
『あはは。悪いな。これらは私に似ているからな。・・・だが、大丈夫そうだな。これから毎日できるか?』


「はい。なんとか。」
『そうか。じゃあ、明日からも黒刃と白刃を頼むぞ。』
「あはは。はい・・・。」
蓮は力なくそう答えるのだった。
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