蒼の瞳、紅の瞳
■ 9.休憩

『あぁ、疲れた。』
咲夜は隊主室に入るなり、溜め息交じりにそう言い放った。
「どうしたのだ?」
書類に区切りがついたのか、白哉が長椅子に座りながらそう言った。


『二宮の姫に絡まれた。給湯室で楽しくおしゃべりに花を咲かせていたよ。それに、流魂街出身だからと言って蓮のことを馬鹿にした。・・・それから、自分も指導してほしいと私に言ってきたんだ。私を利用して朽木家に近付こうとでも思ったんだろうな。』
咲夜は白哉にお茶を出し、白哉の隣に座る。


「それは、災難だったな。」
『本当だよ。ちょっと頭に来たから、毒づいてきちゃった。迷惑かけたら、ごめん。』
謝罪の言葉を口にしつつも、咲夜は笑っている。
「構わぬ。最近二宮家は悪い噂しか聞かぬ。そのくらいが丁度良かろう。」


そう言って、白哉は出されたお茶を一口飲んだ。
そして意外そうな顔をする。
「・・・美味い。」
白哉の言葉に咲夜は仏頂面から笑顔になった。


『だろう?』
そして自慢げにそう言った。
「あぁ。」
『十三番隊ではよく茶を淹れていたからな。』


「・・・浮竹にか?」
咲夜の言葉に白哉の眉がピクリと動いた。
『まぁ、そうだけど。ルキアにも淹れていたし、来れば京楽や伊勢副隊長にも淹れていたぞ?浮竹が元気だと、私にはそれくらいしかやることがないのだ。』


「そうか。」
白哉はなんだか複雑な顔をした。
『・・・嫌だったか?』
咲夜は白哉の顔を覗き込んでそう聞いた。
「そうではない。咲夜の入れた茶を私よりも先に味わっていたということが、な。」


『ふふふ。嫉妬か?』
「・・・悪いか。」
『いいや?君は意外と嫉妬深いよねぇ。私はそのうち邸に閉じ込められてしまいそうだよ。』
咲夜が冗談っぽく言う。


「そうならないように、自覚を持って行動することだな。それから、今後は毎日茶を淹れるように。」
『あはは。はーい。』
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