蒼の瞳、紅の瞳
■ 6.可愛い奴

書類整理のやり方を教え始めて数刻。
『よし!今日はこのくらいでいいだろう。これから、書類の配達に行ってもらう。』
手順を一通り説明し終えると、咲夜はそう言った。
「はい!」


『そこでだ。君に紹介しよう。黒刃、白刃、おいで。』
咲夜がそういうと、二人の少年が現れる。
「「咲夜!」」
『さすがに早いな。』
「「僕たちは咲夜のものだからね!」」


「先生、これは・・・?」
突然現れた少年たちに蓮は戸惑う。
『まぁ、私の式神と言ったところかな。黒いのが黒刃、白いのが白刃だ。』
「式神?」
『あぁ。漣家の術だ。』


一応私の斬魄刀であることは伏せておいた方がいいだろう。
彼を巻き込むわけにもいかないから。
「「よろしくねー!!」」
「よろしくお願いします。」


『君にはこの子たちと書類配達に行ってもらう。』
「この二人と、ですか?」
『あぁ。この二人のペースで配達してきてもらうぞ。・・・瞬歩を使ってな。』
「え?でも僕まだ何回も瞬歩使えないんですけど・・・。」


『そうだろうな。だから、だよ。まずは基本的な体力をつけなければね。君の体は成長途中だ。無理に厳しい修行をすれば、体がついていかなくなってしまう。だから、始めに君には持久力を付けてもらう。』
「はい。」


『これから、この二人が瞬歩で移動する。君はそれに付いて行くんだ。もちろん、始めはゆっくりだがね。さぁ、ではこの書類を三番隊、四番隊、八番隊、十番隊、十三番隊に届けてきてくれ。黒刃、白刃、解っているな?』


「「うん!」」
「蓮のペースよりも」
「少し早めに」
「「だよね?」」
『そうだ。じゃあ行って来い。寄り道はするなよ?』
「「はーい!!行ってきまーす!!」」
「うわ!?ちょっと待ってー!!」


『・・・ふぅ。』
バタバタと三人が出ていく様子を見送って、咲夜はため息をついた。
そして、隣の隊主室に足を運ぶ。
『失礼するよ、白哉。』
隊主室では白哉が一人、机に向かっていた。
黙々と書類の処理をしている。


「・・・なんだ?」
若干拗ねているようだ。
咲夜は彼が副官室の前を通るたびにこちらに視線を向けていることに気が付いていた。


ふふふ。
可愛い奴だ。
『一段落したんでな。ちょっと、休憩だ。』
咲夜はそう言って応接用の長椅子に座る。
「そうか。」
白哉の机には空になった湯呑が置かれている。


『お茶でも淹れてこようか?』
咲夜の申し出が意外だったのか白哉が顔を上げる。
「咲夜に茶など淹れられるのか?」
『失礼な。私だってお茶ぐらい淹れられる。』
「・・・そうか。なら頼む。」
『じゃあ、ちょっと待っていてくれ。』
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