蒼の瞳、紅の瞳
■ 5.指導の始まり

『・・・おや?どうしたんだい?君、顔が赤いぞ。』
白哉から視線を離した咲夜は、顔を赤くしている蓮に気がついた。
「う、あの、恥ずかしい、です。」
『何がだ?』
「な、何が、ってあの、お二人の、会話が。」


『そうか?いつもこんな感じだぞ?』
「えぇ!?いつも!?本当に?」
蓮は目を丸くして恋次を見た。
「・・・あぁ。残念ながら本当だ。気をつけろよ。この人たち無意識だから。」
「えぇ!?」


「俺も慣れたのは最近だ。結婚してすぐはもっと大変だった・・・。」
恋次は遠い目をする。
「何か言ったか?」
恋次の言葉に白哉が反応する。
「いえ!何も!!」


恋次はそう答えると、蓮の耳元で囁く。
「気をつけろよ。あの人たちが二人で居る時はなるべく近寄らない方がいいぞ。隊長の機嫌が悪くなるからな。」
「はい。気を付けます。」


「・・・それから、咲夜さんの特訓はたぶん地獄の様だぞ。頑張れよ、南雲。」
「そ、そうなんですか?」
「あぁ。俺も咲夜さんにお世話になったからよく知っているが、あれはきつかった・・・。」


「そ、そんなに?」
恋次の表情がげっそりとしたものになり、蓮は涙目になる。
「ははは。あまり思い出したくもないが、でも今の俺の力の元になって居るのは事実だ。咲夜さんに見込まれたなら、きっと大丈夫だとは思うが・・・。」


恋次はそう言いながら、まだ幼く体の線も細い蓮を見て不安になった。
「そう、ですよね。頑張ります!」
蓮は恋次のそんな目には気付くことなく、笑顔で恋次を見上げた。
そんな様子をみて、本当に大丈夫だろうかと、恋次は少し不安になる。


仕方ない。
俺も気にかけておこう。
「あぁ、頑張れよ。」
そう言って蓮の肩を叩く。
「はい!」


そう答える蓮は小動物のようだ。
大丈夫なのだろうか。
それに、咲夜さんが六番隊に入り浸るようになるということは朽木夫妻が揃う場面が増えるということ。
また苦労が増えそうだと、恋次は思ったのだった。


翌日から、咲夜による特訓が始まった。
場所は六番隊の副官室である。
恋次は隊員たちとともに執務室で仕事をすることが多いため、白哉がそのように手配したのだ。
もちろん、咲夜に悪い虫が付かないようにするためだが。


『さて、まずは書類整理からだな。強くなるのも必要だが、仕事を疎かにしてはいけない。』
「はい。」
そういうと、咲夜は蓮に書類の作成方法、処理方法を教え始めた。
『・・・で、これはこうなる。ここまではいいか?』
「はい。じゃあ、これはこうなるのですね?」
『そうだ。さすがだな。首席卒業は伊達じゃない。』
「そんな、僕は・・・。先生の教え方が上手いんです。」
と、なかなか捗って何やら楽しそうである。


その様子を副官室の前を通るたびに白哉は面白くなさそうに見つめる。
しかし、咲夜はそれに気付いているのかいないのか。
白哉は少々拗ねながらも自らの仕事に戻るのだった。
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