■ 4.教育係
道場に残ったのは咲夜と白哉、恋次に蓮の四人だけである。
「なんでしょうか?」
呼ばれた蓮は不思議そうに咲夜を見上げた。
『ふふふ。久しぶりだな。』
「はい。その節は大変お世話になりました。おかげであの後の学院生活は快適でした。友達も出来たんですよ!」
嬉しそうに笑う蓮に、咲夜の表情も緩む。
『そうか。よかったな。』
「咲夜、知り合いか?」
白哉がそう尋ねる。
『あぁ。私が君の代わりに霊術院に行ったことがあっただろう?』
「そんなこともあったな。」
『その時に見つけたんだよ。』
「そういえば、そのようなことを言っていたな。」
『それがこの子だよ。今年の首席だ。』
咲夜がそういうと、白哉と恋次は蓮をじっと見つめた。
「あっあの、南雲蓮と申します。よろしくお願いいたします。」
視線に耐えられなくなったのか、蓮は深々と頭を下げた。
「あぁ。」
「よろしくな。」
『あはは。そう畏まらなくてもいいぞ。』
「でも・・・。」
咲夜の言葉に蓮は困った顔をする。
「それで?南雲を呼び止めたのはそれだけのためか?」
『いや、彼の教育係を私に任せてくれないか?』
「は?」
咲夜のとつぜんの言葉に白哉は呆けた顔になる。
『だから!私が彼の教育係になるって言っているんだ。』
「何故?」
『だって、鍛えがいがありそうなんだもの。この子は将来強くなる。私はそう思うよ。』
咲夜は真っ直ぐに白哉を見てそう言った。
瞳が輝いている。
・・・これでは何を言っても無駄だな。
白哉は内心ため息をついた。
「・・・よかろう。」
『本当か!?』
「あぁ。浮竹には迷惑をかけるなよ。もちろんルキアにもな。」
『それは、解っているさ。』
「それから、定刻後の特訓は禁じる。」
『えぇ?なんでだ?』
「・・・そなたは私の妻だろう。」
咲夜の問いに白哉はポツリと答えた。
『あはは。私ってば、愛されてるね。』
「当然だ。私を疎かにしたら・・・解っているな?」
白哉の瞳に剣呑なものが映る。
『まったく、我が儘な旦那様だ。』
「何か悪いか?」
『いいや?そんなところも愛していますよ、旦那様。』
「そうか。それは結構なことだ。」
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