蒼の瞳、紅の瞳
■ 31.夫婦のやりとり

『白哉。』
咲夜がそう呼ぶと、白哉は咲夜を見た。
「咲夜。もういいのか?」
白哉は先ほどまで咲夜が居た方に目を向けながら、そう言った。


『あはは。なんだかよくわからないが、いいんじゃないか。』
「・・・その割には視線を感じるのだが。」
『あぁ、うん。なんかみんな私たちのことが気になるみたいだ。』


「そりゃあ、気になるでしょうよ。」
「だろうな。まぁ、漣、ここに座れよ。」
浮竹と京楽は訳知り顔で咲夜を招いた。
(「「二人のシャッターチャンスを彼らが狙っているとは言えない」」)
と思いながら。


『まったく、何故こうなったのだか・・・。今日は隊員たちが浮竹とともに酒を呑むために私は宴を開いたのだぞ?』
咲夜が少々げんなりしつつ言った。


「ははは。そうだな。だが、皆興味があるのはお前の方だったらしいな。」
浮竹が苦笑しつつ答える。
「みんな、朽木夫妻の日常が気になるのさ。」
『別に、普通だ。なぁ、白哉?』
「そうだな。」


白哉はそう返事をして、盃を乾した。
それを見た咲夜は
『はい、白哉。』
そこへ酒を注ぐ。
「あぁ、済まぬ。」
と、白哉は表情を柔らかくした。


何気ない夫婦のやり取りだ。
だが、
「「「キャー!!」」」
という興奮した声が乱菊たちの方から聞こえてきた。


『・・・なんだ?』
咲夜が驚いてそちらを向くと、なぜか顔を赤くした女性陣と、カメラのシャッターを押し続ける涅副隊長の姿がある。
そして、咲夜は理解した。


写真を撮られたのは自分たちだ。
きっと、二人の普段の様子を見るために、私をここに来させたのだ。
それと同時に赤くなる。
『ちょ!?そのカメラ!!ダメ!!って、逃げるなぁー!!』
咲夜はそういうと、逃げて行った彼女たちを赤い顔のまま追いかけて行ったのだった。
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