蒼の瞳、紅の瞳
■ 28.詰め寄られる

翌日、咲夜の予定通りに宴の準備が進められていた。
いつの間にか、噂を聞きつけた他隊の者まで参加している。
「あ!それは、こっちに!」
「箸と盃はこれで足りるかしら?やっぱり、借りてくるわ。」
と、なかなか騒がしい。


「やぁ、咲ちゃん。」
咲夜がそんな様子を眺めていると、京楽が姿を現した。
『京楽。』
「面白そうなことをやっているじゃないか。」
『ふふふ。いいだろう。山じいにも許可を貰ったんだ。』


「えぇ!?・・・まったく、山じいは咲ちゃんに甘いよねぇ。」
『京楽と違って日頃の行いがいいからな。まぁ、たまにはいいじゃないか。浮竹を慕う者は幾らでも居るんだ。憧れの人と酒を呑む。これほど、嬉しいことはないだろう?』


「まぁね。隊士たちにとってはまたとない、いい機会だ。僕も参加したいなぁ。」
『ふふふ。仕事を終わらせてから来いよ。私が伊勢副隊長に怒られてしまう。』
「あはは。それじゃあ、お仕事頑張らないとね。」


『あぁ。この様子だと、八つ時には始まるだろう。日が暮れたら、朽木家から酒と肴が届く。・・・勤務時間内は酒を呑ませるなと、山じいに言われたからな。それまでは私の舞や四楓院の雅楽も披露するつもりだ。』
「へぇ。それは、ぜひ行かなくちゃ。じゃあ、僕は仕事を片付けてくるよ。」
京楽はそう言って後ろ手にひらりと手を振りながら隊舎へと向かっていった。


・・・何故、こうなったのだろう?
宴が始まって、咲夜は死覇装のままで舞を舞った。
・・・巫女姿で舞うのは白哉に止められたからだが。
だが、そんなことは問題ではない。


先ほどから、
「朽木隊長って、普段どういう感じなんですか?」
「朽木隊長の奥さんだなんて羨ましい!!」
と、咲夜は隊員たちに詰め寄られて質問攻めにされているのだ。
主に、女性死神協会の面々によって。


『いや、あの、普通だぞ・・・?』
咲夜は気圧されながらもはぐらかしつつ受け答えをしていた。
何故だ。
この宴は浮竹と隊員たちが話すためのものだったはず。
何故私がこんなにも人に囲まれているのだろうか?


浮竹などはさっきから京楽と二人で平和に酒を呑んでいる。
たまに、こちらをチラリと苦笑したような顔で見ているが。
助けてはくれないらしい。


薄情者・・・。
内心で呟くが、もちろん彼らに聞こえるはずがない。
女性陣に気圧されながら、どうして逃げようかと考える咲夜なのだった。
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