蒼の瞳、紅の瞳
■ 26.旦那様のお迎え

咲夜の行動は早かった。
浮竹のためであり、十三番隊の隊員のためであると総隊長を説き伏せ(最終的には幻の酒をちらつかせて買収したらしい・・・雀部副隊長談)、宴会の許可を貰ってくると、朽木家に戻り準備の指示を出した(もちろん白哉の許可などもらっていない)。


そして、隊員たちの声を聞くことなく、執務室から書類を全て持ち出すと、恐るべき速度で、三日分はあろうかという仕事を定刻前に終わらせたのだった。
途中、
「あの人は一体何者なんだ?」
「腕が二本以上あるように見えるぞ。」
などといった、隊員たちの驚きの声も上がっていたようだが、咲夜は全く気にすることなく、書類整理を続けた。


そして今は、終わらせた書類を隊員たちに配達に行ってもらっている。
よって今、執務室には咲夜しかいない。
『さて、私は一度漣家に戻るか。せっかくの宴なのだから、余興も必要だろう。』


「失礼する。」
咲夜がそんなことを考えていると、定刻になっていたらしい。
白哉が顔を出した。
『白哉じゃないか。お疲れ様。』
「あぁ。もう帰れるか?」


『・・・すまないが、今日は漣家に行く。』
咲夜の言葉に白哉の眉間には皺がよる。
「なぜだ?」
『明日、十三番隊で宴をすることになってな。余興として舞を舞おうと思うのだ。衣装を取りに行かねば。』
すると、白哉の顔が険しくなった。


「・・・ならぬ。」
『え?』
「ならぬと言ったのだ。」
『何故だ?』
「・・・。」
咲夜の問いに白哉は押し黙る。


『白哉?』
咲夜が彼の名を呼ぶと、ふわり、と彼の腕の中に捕えられた。
「・・・見せたくないのだ。咲夜は私のものだろう。」
そして、咲夜の耳元で小さくそんな言葉を囁いたのだった。
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