蒼の瞳、紅の瞳
■ 21.始解の習得

それはある日のこと。
「なぁ、漣。」
雨乾堂で茶を飲んでいた浮竹が、日向ぼっこをしている咲夜に声を掛けた。
『なんだ?』
「あの子ら、なんだか大きくなっていないか?」
そう言った浮竹の目線の先には黒羽と白羽がいた。


『やっぱりそう思う?』
「あぁ。具象化って姿が変わるものなのか?」
『さぁ?森羅は変わらなかったぞ?』
「じゃあ何であいつ等は背が伸びているんだ?」


『うーん・・・。普通の死神と同じようによく食べてよく寝ているからじゃないか?』
「それなら俺の双魚理も成長するはずなんだが。」
『それもそうだな。・・・やっぱり、そろそろ始解と卍解を習得しておいた方がいいのかなぁ。』
「ん?まだ習得していなかったのか?」
浮竹は意外そうな顔をした。


『あぁ。使う必要がなかったからな。私はまだ、解号すら知らないよ。それにあの子たちは二本の斬魄刀だからなぁ。別々に始解と卍解があるのだろうか。』
「それは・・・そうなんじゃないのか?」
『やっぱりそうだよねぇ。修行するの面倒だなぁ。』


「おいおい、面倒だからって放っておく気か?」
『うーん・・・。あぁ、そうか!あの子らに聞いてみればいいんだ!!おーい、黒刃、白刃おいで。』
咲夜が呼び掛けると二人は駈けてきた。


「「なぁに?」」
『君たちってさぁ、別々に卍解と始解があるの?』
「「始解は別々だけど、卍解は一緒にもなる。」」
『君たちは私に、始解と卍解を教えてくれるかい?』
「「いいよー!!それじゃあ、行くよー?」」
「え?ここでやるのか?」


「闇に踊り、地に潜れ。」
「光に舞い、天に昇れ。」
浮竹の疑問に答えることなく二人が解号を唱えると、霊圧が噴出した。
すると、黒刃は漆黒の羽を持ち、白刃は純白の羽を持つ姿になっていた。
いつものような子供の姿でなく、背が伸びて体格も大人のものになっている。


『・・・え?君たちそんな姿なの?』
「俺はもともとこの姿だ。」
「私ももともとこの姿です。」
え。
二人がシンクロしてない。


『じゃあ何でいつも小さいの?』
「それは、ほら、物理的に。」
「このサイズが二人も居たら邪魔でしょう?」
「小さい方が動きやすいし。」
「小さい方が可愛がってもらえますし。」


『・・・そんな理由!?』
「「そうだ(そうです)。」」
「・・・なんか、流石お前の斬魄刀だな。」
浮竹は二人を見て感心したように言った。
『どういう意味だ。』
そんな浮竹に咲夜はじとりとした目を向ける。
「そのままの意味だ。」
浮竹はそれを気にすることなく、笑顔でそう返した。


『まぁ、いいや。これで始解は習得完了か。じゃあ、卍解は?』
「すぐにでも教えるぞ。」
「すぐに教えましょうか?」
『え?そんな簡単に教えていいの?』
「あぁ。」
「はい。」


「咲夜は俺の主だし。」
「咲夜は私の主ですし。」
「咲夜は森羅の卍解使えたんだろ?」
「それなら、私たちの卍解などすぐにできるようになりますよ。」


『・・・そうなんだ。うーん、さすがにここで卍解はまずいか。浮竹、修練場借りるぞ。』
「あ、あぁ。壊すなよ。」
『ははは。君は来ないのか?』
「見ていてもいいのか?」


「別にかまわない。」
「私もです。」
『だそうだが?』
「じゃあ、俺も行く。お前の卍解は見たことがないからな。」
『そうだっけ?さて、行くか。』
[ prev / next ]
top
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -