蒼の瞳、紅の瞳
■ 20.連れ去られる

「隊長、一体どうしたんですか?突然こんなところに来て・・・。」
そこへ恋次が現れる。
「って咲夜さん!?何してんすか?」
『いやぁ、ちょっとしたお遊び?』
咲夜はそう言ってへらりと笑う。


「ほう。これは遊びか。そうかそうか。なら存分に楽しませてもらおう。」
白哉の雰囲気が妖しいものになる。
『いや、違う、ぞ?』
それに気が付いた咲夜は慌てて否定し、白哉から離れようとするがそれよりも早く咲夜の腰に彼の手が回った。
そして咲夜に顔を寄せる。


「・・・仕置きだな。自分が誰のものなのか思い知るがいい。」
『うわぁ!?ちょっと!?降ろせ!!』
白哉は咲夜を抱え上げる。
『恋次!!!私を助けろ!!早く、頼む!!』
「いや、あの、え?」
恋次はただ混乱しているだけである。


『早く私を助けろ!!』
咲夜はジタバタと暴れるが、白哉はびくともしない。
「五月蝿いぞ。大人しくせぬか。・・・恋次、私は帰る。あとは頼んだ。」
そう言うと、白哉は姿を消したのだった。
「へ!?ちょっ!?隊長!?」


「・・・あの?」
状況が呑み込めていない恋次に、学院の教師が声をかける。
「は、はい。」
「今のは一体・・・?」
「いや、なんつーか・・・。いつものことです。お気になさらず。」
「そういわれましても・・・今の方は朽木隊長ですよね?」
「はい・・・。」


「では、あの漣咲夜さんというのは・・・。」
「あー、お察しの通りですよ。」
「・・・そうですか。それで、課題というのは何だったのでしょう?」
「課題?」
「漣先生が捕まえた数が捕まった数よりも少なかった場合に課題を出すとおっしゃっていたのですが。」


「課題、ねぇ。たぶん24時間直立不動で立ち続けることだと思いますよ。俺が院生の頃もそうでしたから。それでいいと思います。じゃ、今日の特別講義は終わりだ。しっかりと課題をやるように。やらなかったら漣先生から地獄の訓練をやらされるからな。」
恋次の話を聞いていた生徒たちが悲鳴を上げる。


まぁ、そうだよな。
腹筋や腕立てよりもただ立っている方が苦痛だもんな。
さて、そろそろ行くか。
夫婦喧嘩も大概にしてほしいものだ。
恋次はそんなことを思いながら会場を後にしたのだった。
・・・翌日ふらふらと歩く咲夜が目撃されたらしい。
[ prev / next ]
top
×
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -