ひやり、と冷気が満ちてくるようだ。
白哉の纏う空気が冷たいものになっていく。
『いや、その、つい、出来心というか・・・。』
「ほう。それで？私に何の相談もなしに来たという訳か。」
『いや、それは・・・だな。ほら、人材育成も大切だろう？面白いのを見つけたんだ。あれは育つぞ？』


「そのようなことを聞いているわけではない。」
『・・・なんで知っているんだよ。』
観念したように咲夜は問うた。
「先ほど、断った詫びとして家の者に品を贈らせたのだ。するとその者が霊術院でそなたを見たと。それに、その話は断られていないとも言われたらしい。」
しまった。
これは予想外だ。


『あは。』
「笑ってごまかせると思うのか？」
白哉の鋭い視線が咲夜を射抜く。
『いや、あの・・・。』


「私はどこかに行くときは連絡しろと言ったはずだ。聞いていなかったわけではあるまい？そう言ったのは一度や二度ではないのだからな。」
『う・・・。聞いてました。』
「そうか。それでも連絡を入れなかったのだな？」
『その、それは、だな・・・。』


「何か私を納得させる理由があるというのか？」
しどろもどろになった咲夜に、白哉は冷たい視線を向ける。
『・・・ない、です。』


「・・・何か言うことがあるだろう。」
『・・・ごめんなさい。』
「だいたい、仕事はどうしたのだ。」
『いやぁ、浮竹がいいって言うから・・・。』


「ほう？浮竹には伝えていたのだな？」
白哉の目がさらに鋭くなる。
『いや、あの、はい。』
「いつも無断でふらふらと、もう少し自覚を持てと言っているであろう。」
『・・・返す言葉もございません。』
「私を怒らせたいのか？」
・・・もう怒っているじゃないか。


『いやぁ、そんなことはないよ？』
そう言った咲夜に、白哉はため息をついた。
「お前は誰だ？」
『へ？私？』
「お前は誰のものかと聞いている。」


『えっと、それは、ここでは言いにくいというか・・・。』
「では、私が皆に聞こえるように言ってやろう。」
『うわぁ！！それはやめてくれ！！』
咲夜は慌てて白哉の口を塞いだ。
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