蒼の瞳、紅の瞳
■ 18.捕まえられる

「ふぅ。漣先生!!やりました!!近くに居るんでしょう?」
蓮に呼ばれて咲夜は出ていく。
そして、彼の頭を撫でた。
『よかったな。』
「はい!!先生のおかげです。」


にこにことしている彼を見て、咲夜も嬉しくなった。
「でも、なんで僕なんかのために先生はここまでしてくれるんですか?」
『君に才能を感じたからだよ。どんなに才のある者でも、いずれ居なくなる。だから、常に新しい才のある者を見出さねばならないんだよ。これも、死神の仕事の一つだと私は思う。』


「じゃあ、僕頑張ります!先生のように強くなります。期待に応えられるように。・・・あ!!先生!」
『なんだ?』
「捕まえた!!」
彼はそう言って咲夜の腕をつかんだ。


・・・やられた。
油断したな。
彼は得意げに笑っている。
『ふふふ。私を捕まえるなんて、隊長たちだってなかなか出来ないことだぞ?まったく、君ってやつは・・・。』


いいね。
こういう子は必要だよ。
後で隊長たちに推薦しておこう。
実力も申し分ない。
来年あたりには入隊してくることだろう。
楽しみだ。


『さて、皆ご苦労だった。これから課題を発表する。私からの課題は・・・』
咲夜が課題を発表しようとした瞬間、彼女の隣にある男が突然現れた。
風になびく漆黒の髪と白い羽織。
その背には六という字が刻まれていた。
その姿に生徒のみならず、教師までもがざわめく。
ついでに眉間には深いしわが刻まれている。


「・・・咲夜。」
あぁ、声でわかる。
相当不機嫌だ。
『な、なんでしょうか?』
咲夜は思わず敬語になる。


「何をしている。」
『えーと・・・特別講師?』
「私はそれを断ったはずだが。」
『君の代わりに来たんだ。』
「私は頼んだ覚えはない。」
鋭い視線を向けられて、内心で震えた。
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