蒼の瞳、紅の瞳
■ 16.美しい瞳

志島、皆藤、安西。
咲夜は初めの自己紹介で彼らの名前を記憶した。
一応上級貴族の子息だな。
だが、そんなもの私には関係の無いことだ。
容赦はしない。
「では、始め!!」


霊圧が封じられ、隠れる側が四方に散って行き、暫くしてから鬼が探し始めた。
一回目は、志島という少年が鬼になった。
咲夜は、気配を消して彼の後を追う。


すると、皆藤と安西が南雲蓮を拘束していた。
霊圧も封じられた状態では、反抗することも難しいだろうな。
南雲蓮は細すぎる。
まぁ、まだ幼いというのもあるのだが。
さて、彼だけが捕まり、彼が誰も捕まえなければあの三人は課題から逃れられるという訳だ。


一回は私が捕まえるからいいとして・・・。
もう一回はどうしようかな。
南雲蓮に捕まえてもらおう。
最悪、朽木家の名前を出せば彼らは今後南雲蓮に手を出すことはなくなるだろう。


「流魂街出身の癖にでしゃばってんじゃねぇよ。」
「目障りなんだよ。変な目しやがって。」
「さっさと辞めちまえよ。」
「よし、これで一人は捕まえたぜ。」


咲夜が計画を立てていると、そんな声が聞こえてきた。
下らんな。
貴族だろうがなんだろうが、違いはないというのに。
捕まった者は会場に戻るため咲夜は南雲蓮に着いていくことにした。
『ふふふ。遠慮はしない。』
そんな風に悪い笑みを浮かべながら。


「・・・はぁ。」
南雲蓮はそんなため息をつきながら歩いていた。
「僕ってば弱いなぁ。」
そんなことを呟きながら歩いていると、
「・・・んぐ!?」
突然口を押えられて、ものすごいスピードで移動している。


「んー!!んん!!」
抵抗してみるがびくともしなかった。
すると、森の中に入ってゆく。
『・・・この辺でいいか。』
その声とともに、彼はようやく降ろされたのだった。
「ぷは、目が回ってる・・・。って先生!?」


『やぁ、さっきぶりだね。』
そう言って咲夜は笑った。
「どうしてここに?なんで僕は連れてこられたんです?」
『ははは。悪いね。攫うような真似をして。・・・ところで君、学校生活は楽しいかい?』


「え・・・?」
咲夜の質問に彼は戸惑った。
「・・・楽しいです。」
『本当に?』
咲夜にそう聞かれて、南雲蓮は言葉に詰まった。


『いや、聞き方を変えよう。学校での勉強は楽しいかい?』
「はい。」
その質問には迷いなく答える。
『では、勉強以外のことは?』
咲夜は彼の瞳を真っ直ぐに見ていた。
「・・・。」
彼は無言で目をそらす。


『君はいじめられたままでいいのかい?』
「・・・でも僕は流魂街出身です。それに、僕の目変だし・・・。」
『出身なんて死神になるうえではどうでもいいことだよ。流魂街出身の隊長だっている。・・・君の目は、綺麗だよ。右目も左目も宝石のように美しい。私は、君のその目が好きだよ。』
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