蒼の瞳、紅の瞳
■ 15.特別授業

咲夜と睦月が話していると、着替え終わったのか、南雲蓮がカーテンの向こうから出てくる。
「あの、ありがとうございました。後で洗って返します。」
「気にしないで。これも僕の仕事のうちです。この後の授業には出席しますか?」
「はい。この後は特別授業なので。」


「そうですか。何かあったらすぐに僕に相談してくださいね。」
そう言ってにっこりと笑う睦月。
さっきまでの仏頂面はどこに行ったんだ?
咲夜は内心で首を傾げつつも南雲蓮に声を掛ける。


『今日の特別授業は君のクラスだったのか。』
「へ?じゃあ、貴女が今日の講師の方ですか?」
『そうだ。・・・あ。』
そこで咲夜は思い出した。


「どうしたんです?」
『学院長に挨拶してない。』
「・・・漣先生、早く行きなさい。」
睦月が黒い笑みを浮かべながら言った。
『ふふふ。睦月、適当に言っておいてくれ。もう授業が始まってしまう。』


「うわ!?」
『じゃあな。』
咲夜はそういうと南雲蓮を捕まえて、窓から消えて行った。
「お前なぁ!!!」
という彼の声が聞こえた気がするが気にしないことにした。


始業の鐘が鳴った。
咲夜は特別講義の会場である、第二修練場で講師の挨拶をしていた。
南雲蓮も院生の列に加わっている。
院生たちは落ち着かない様子だ。


『今日の特別講義は本来ならば、六番隊隊長の朽木白哉が行う予定であったが、急きょ予定が変更となったため、私、十三番隊の漣咲夜が担当する。どうぞよろしく。』
漣咲夜という名を聞いても、誰も私が朽木白哉の妻となった漣咲夜だとは思わないらしい。


・・・しかし私はそんなに貴族の感じがしないのだろうか。
少し悲しくなりつつも咲夜は言葉を続ける。
『今日の内容だが、皆には鬼ごとをしてもらう。』
咲夜の発言に会場内はざわつく。


『これから皆の霊圧を封じる。霊圧に頼ることなく、人の気配だけで探すのだ。霊圧を閉じることができても、気配で相手に気取られてしまっては意味がない。また、敵の気配を感じ取ることができるかどうかで生死が分かれることもある。よって、これから五人一組となって一人は鬼をやり、残りの四人には逃げてもらう。それを五回繰り返す。一回の制限時間は15分だ。鬼は順番に全員が行うように。捕えた数よりも捕えられた数の方が多かった者は、後で私が出す課題をやること。では、グループを作ってくれ。』


咲夜の言葉に院生たちはグループを作り始めた。
南雲蓮を見ると、彼の周りに三人の男子生徒が集まっている。
あの三人があの子をいじめている人たちだろうな。
三人に囲まれ、小さくなっている南雲蓮を見て、咲夜はそう直感した。


『さて、五人一組になっただろうか。人数が半端な組は手を挙げてくれ。』
すると、南雲蓮のグループで手が上がる。
好都合だ。
『その組だけか。では、私がそこに入ろう。』
咲夜は内心そんなことを思いつつ、時間を計るのを学院の先生に任せて、表面上はにこやかにその組へと入ったのだった。
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