蒼の瞳、紅の瞳
■ 10.大切な友人たち

「京楽、まさかお前・・・。」
京楽の寂しげな様子にに浮竹は微かに動揺する。
「いやいや、そういうんじゃないんだけどね。こう、友人として真剣に向き合おうって思ったんだ。」


「なんだ、そういうことか。お前は昔から他人との距離をいつも測っている。そして適当な距離感で相手の心に踏み込みすぎないようにしている。それはお前自身の領域に入ってこないようにするためでもあったんだろう?俺も漣もお前が壁を作っていることに気が付いていたさ。」


「あはは。さすがだね。・・・咲ちゃんはさ、そんな僕の作った壁をぶち壊したんだよね。それで、真正面から僕を見据えて、僕と真面目に向き合ってくれた。浮竹も、その壁をあっさりと飛び越えてきた。始めは動揺したけれど、今はそれで良かったんだと思えるようになったよ。相手のことを思うなら、距離を測ってばかりではダメなんだってね。時には踏み込まなきゃならないときもあるんだって。」


「そうだな。」
「あはは。なんか情けない話をしちゃったね。」
「そんなことはないさ。・・・なぁ、漣?いや、もう朽木か。」


浮竹がそういうと、生垣の向こう側から白無垢姿の咲夜が姿を現した。
「えぇ!?」
京楽が慌てて飛び起きる。
「驚きすぎだろう。」
『本当にな。』
そんな京楽の姿を見て、浮竹と咲夜は笑う。


「どこから聞いていたんだい?」
『ふふふ。京楽が見合いの話を始めたときぐらいからかな。』
「・・・浮竹も気が付いていたなら教えてくれよ。僕ばっかり恥ずかしいじゃないか。」
京楽は情けない顔をして浮竹を見た。


「ははは。悪いな。お前が珍しく、真面目に話しているものだから、話の腰を折るのも気が引けてな。」
悪びれる様子もなく、浮竹は笑ってそういった。
『本当に珍しく語っていたな。どうしたんだい?』


「お前が結婚するのが寂しいんだよ。」
咲夜の問いに浮竹がからかうように笑いながら答える。
「浮竹!?それは、君も・・・。」
「ん?どうした?」


京楽は反論しようとしたが、浮竹のけろっとした様子に言葉を失う。
『なんだ。そんなことか。ふふふ。結婚したって私は京楽の友人だぞ?』
それに気が付いているのか居ないのか、咲夜はそう言って京楽に笑顔を向けた。
「咲ちゃん!!」


咲夜の言葉に京楽は涙を浮かべ、勢いよく抱き着こうとする。
しかし、京楽の腕が咲夜に届くことはなかった。
そして京楽はそのまま地面に倒れこむ。
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