蒼の瞳、紅の瞳
■ 7.用意周到

「「「「えぇ!?」」」」
翌日、瀞霊廷のあちこちから驚きの声が上がった。
咲夜と白哉の婚約が発表されたのだ。
そして驚いたのは咲夜も例外ではなく。


『ちょっと白哉!?どういうことだ!?』
「そのままの意味だが?」
白哉は執務室に飛び込んできた咲夜に驚くこともなくそう答える。
『婚約って!!なんでそんなことになるんだ?』


「こういうのは早い方がいいだろう。じい様と天音殿には前から許可をもらっている。」
『は?え?じゃあ、君は・・・。』
「誰が何と言おうと、私は兄を妻として迎えるつもりだったが?」
しれっと答える白哉に、咲夜の顔は赤くなった。


『っ!!白哉の莫迦!!』
白哉はそう言って逃げようとする咲夜を捕まえ、腕の中に閉じ込めた。
「嬉しくないのか?」
そして至近距離で咲夜にそう問うた。


『っずるい!』
「嬉しくないのかと聞いている。」
『・・・うれしい、けどなんか嵌められた気分だ。』
「そうか。」
白哉は満足そうに微笑む。


『・・・君は私でいいのか?私は君よりもだいぶ年上だぞ?それに、これから先も色々なことに君を巻き込むかもしれない。』
「構わぬ。」
『漣家のことについて、君に話せていないことだって、たくさんある。たぶん、一生話せないこともある。それなのに、私は、君を巻き込むだろう。』


「構わぬ。覚悟の上だ。」
『きっと、君も苦しむことになるぞ。私は、漣の巫女で、その中でも特殊で。私の力は大きく、皆を振り回す。皆を苦しめる。本当に、私でいいのか?』
「咲夜が共に歩むというのなら、それでいい。私は、咲夜がいいのだ。」


はっきりと言い切られて、咲夜は悟る。
白哉は、本当にすべてを受け止めようとしてくれているのだ。
厄介者の私を、丸ごと。
それが嬉しくて、でもこの先にある苦しみを思うと切なくて、涙が出そうになる。


「そんな顔をするな。この先、どんな苦しみがあろうと、私は、幸せだろう。この選択を後悔することもない。・・・私の傍に居ろ、咲夜。そばに居るだけでいい。そなたが傍に居てくれるのならば、私は、全てを受け止めよう。」


『・・・君は本当に、我が儘なのに欲がないな。』
「そんなことはない。・・・私は咲夜が欲しい。私と結婚してくれるか?」
『・・・もちろん。私でいいなら、いくらでもあげるさ。』
二人は微笑んで、誓うように口付けを交わしたのだった。
[ prev / next ]
top
×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -