蒼の瞳、紅の瞳
■ 3.昼時の相談

「・・・浮竹、咲ちゃんが誰かを好きになったとか、付き合ったとかいうことあった?」
「・・・数百年の付き合いがあるが、一度も聞いたことはないな。見合いもすべて断っていたようだし。」
「だよねぇ。」


「学生時代も人気はあったが、彼女に近寄ってくる奴は居なかったし・・・。」
「高嶺の花だったからねぇ。家柄も頭脳も能力も申し分ない。・・・その上浮竹と付き合っているという噂も立っていたしね。」
「へ?」


「おやぁ、知らなかったのかい?まったく、色男はいいよねぇ。羨ましいよ。」
「そうなのですか?」
「いや!?いやいやいや、それはないぞ?」
「そうなの?」
京楽がからかうように言う。


「やめてくれよ・・・。京楽、よく考えてみろよ。あの漣だぞ?あり得ると思うか?」
「あはは。思わない。僕あの噂聞いた時に思わず笑っちゃったもの。」
「確かに咲夜姉さまが恋愛をする様子は想像できませぬ。」
「だろう!?・・・しかし、白哉は苦労しそうだな。」


「えぇ。時間をかけるつもりではあるようです。すでに銀嶺様や漣家の天音様にもそのことを伝えたようですし・・・。」
「外堀から埋めていこうってことだね。」
「だから漣は未だに当主に戻っていないのか?」
「はい。それに・・・すでにいくつかの姉さまへの見合いの申し出を潰したようです。もちろん姉さまは気が付いておられませんが。」


「・・・やるねぇ。」
「あぁ。本気だな。」
「・・・うまくいくでしょうか?」
「さぁな。こればっかりは俺たちにもわからん。」
「朽木隊長の頑張りに期待ってとこかな。」


雨乾堂でそんな会話がされていたころ、咲夜は三番隊舎でイヅルとともに昼食を摂っていた。
もちろん、今日もイヅルお手製のお弁当である。
『ねぇ、イヅルは誰かを好きになったことはあるかい?』


「んぐ!?っげほ。」
咲夜の質問に驚いたのか、イヅルは噎せてしまった。
急になんていう質問をするんだ、この人は。
『大丈夫かい?』


「・・・はい。いきなり、どうしたんですか?」
『ちょっとね。それで、あるのかい?』
「そりゃあ、ないことはありませんけど。」
『そうだよねぇ。君は桃のことばっかり見ていたもの。』


「ふぐ!?・・・いつの話をしているんですか。」
また、噎せそうになってしまった。
今日の咲夜さんは一体どうしたのだろう?
『院生時代。違うのか?』
「ちが、う、こともないですけど。」


『好きになるってどういうことだ?』
「どうっていわれても・・・。こう、なんていうか・・・。」
『私はわからないんだ。好きって何だ?』
「告白でもされたんですか?」
『へ!?いや・・・まぁね。』


僕の質問にしどろもどろになる咲夜さん。
「あぁ、それでさっきの質問になるわけですね。で、どうしたんです?」
そう問えば、咲夜さんは珍しく口ごもる。
やはり何かあったらしい。
そう思って、イヅルは彼女が話し始めるのを待つのだった。
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